「お花畑系キャリア教育」は言われるほど多いか？
藤田　晃之　著
新指導要領との関連など解説

　副題にあるように「フォービギナーズ」に加えて、さまざまな「？」を頭に浮かべながら、キャリア教育に取り組んでいる現場の先生方にも、ぜひ読んでほしい。国立教育政策研究所のキャリア教育担当の総括研究官などを経て、筑波大学で「キャリア教育学」を担当する著者の「説明」は、キャリア教育への熱い思いなども込められて、のみ込みやすい。
　本書は同大学の「キャリア教育学研究室公式サイト」に掲載したエッセー４１話分を基にした。「そもそも『キャリア教育』って、何？」「学びの意味」「新学習指導要領が導くものとは？」「実践をどうするか？」の全４章で構成した。
　取り上げているトピックも、キャリア教育と進路指導の関係、新学習指導要領での「基礎的・汎用的能力」の位置付け、キャリア・パスポートの正体など、実際に教育に携わる人々の反応を見て書かれてもいるため、むしろ現場の先生方にとって理解が深まるものになっている。
　この他にも、例えば、幼児教育からキャリア教育は必要なの、教科を通したキャリア教育は可能なの、中学校での職場体験だけでは十分ではないのか…など、素朴な疑問に対する解答を得ることができる。
　新学習指導要領ではキャリア教育の重要性を強調した。キャリア教育と新学習指導要領の関連を読み解く上でも、参考になる。
（２２００円　実業之日本社）
（矢）