「カセットこんろ」で実験時間を短縮し、探究する時間の確保を
10面記事子どもたちでも手軽に扱えるカセットこんろは魅力だ
愛知県・岡崎市立細川小学校
火気を扱う実験機材として定着
理科教育では、子ども自身が「観察・実験」を中心とした探究の過程を通じて課題を解決したり、新たな課題を発見したりする経験を増加させていくことが求められている。その中で、新しい加熱器具として導入する学校が増えているのが、「カセットこんろ」(理科実験用ガスコンロ)になる。細川小学校では教科書の改訂で加熱器具として推奨されたのを機に、12台を導入(2015年度)。現在は20台を常備し、理科室での火気を扱う実験機材として定着していると話すのは、日下部 教子教諭(5年生担任)だ。
「たとえば、4年生では金属の温まり方などについて考える単元『もののあたたまり方』。5年生は食塩などを水に溶かし、水の温度や量による溶ける限度の違いなどを学ぶ単元『ものの溶け方』といった実験にカセットこんろを使っています」
授業の見通しがしやすくなった
そんな「理科実験用カセットこんろ」は家庭用より一回り小型で、四脚の網台(五徳)が付いているのが特長。バーナー部が小さく、ビーカーなどが炎に包まれることなく安全な実験が可能になる。「アルコールランプは容器を倒す心配があり、ガスバーナーも小学生にとっては扱いがむずかしいところがあります。全般的に火器の扱いに慣れていない今の子どもたちにとっては、カセットこんろの方が安心して扱えるのでは」と、誰でも着火しやすく、他の加熱器具よりも安全面で優れていることを長所に挙げた。
加えて、実験では3~4人グループで1台ずつ使用することが多いが、「点火つまみによって火力を調整できるため、実験結果にバラつきが少なくなる。しかも、水がすぐ沸騰するなど火力が強く実験時間も短縮できるので、教員にとっては授業の見通しをもちやすいですね」と話してくれた。
つまり、教員がなるべく授業に実験を取り入れようと考えても、それ以前の指導に多くの時間を割いてしまったら、考えを深めさせたり、課題について探究したりする時間もとれなくなってしまう。その意味でも、スピーディーな実験を可能にする「理科実験用カセットこんろ」が役立つはずだ。日下部教諭も「実験が以前よりも簡単にできるため、理科を専門としない先生にもできるだけ実験のある授業に取り組んでほしいと思います」と期待を寄せる。
自身も、子どもたちに実感を伴った理解が図られるよう、2時間続きの理科授業では必ずといっていいほど実験を取り入れている。そこでは準備を含めて実験を「時短」することが、なおさら大事になるはずだ。
安全で正しい使い方を
そのほか、「理科実験用カセットこんろ」はボンベが必要以上に熱くなったら働く安全装置や、正しくセットしないと火を点けるつまみを回せないなど、安全設計にも配慮されている。だが、火器であることには変わりがないため、使用前には必ず子どもたちに安全な使い方を指導する必要がある。
そのため、一般社団法人日本ガス石油機器工業会では、「カセットこんろ」の安全で正しい使い方を学べるDVD教材を作成し、全国の学校に無料配布している。ぜひ、取り寄せるなどして参考にしてほしい。
問い合わせ=03・3252・6101
http://www.jgka.or.jp