エアコンと併せて全教室に加湿器を導入 乾燥を防ぎ室内環境の改善に
14面記事東京都・江戸川区立第三松江小学校
学校施設は児童・生徒が一日の大半を過ごす学習・生活の場であることから、室内環境も健康に配慮することが求められている。現在、熱中症対策として急ピッチで進められている普通教室のエアコン導入もその1つだが、閉め切った室内では乾燥が進みやすいため、加湿によって適切な室内湿度を保つことが必要だ。そこで、エアコン導入と併せて加湿器を設置するケースが増えている。
冬場の乾燥対策として加湿器を活用
2017年、新校舎に生まれ変わった江戸川区立第三松江小学校は、少人数学習室や多目的スペースを配置し、多様な学習形態に対応するほか、屋上に太陽光発電パネルを設置するなど省エネ施設も完備。また、地域交流の場や防災拠点として活用できるよう、さまざまな機能が備えられている。こうしたなか、普通教室をはじめ、特別教室、職員室等のエアコンとともに設置されたのが、ウエットマスター(株)の天埋カセット型「てんまい加湿器」だ。
本製品は室内の空気を吸い込み、加湿した高湿空気を室内に吹き出すことで、空調方式や空調機の運転に左右されずに確実な加湿が行えるのが特長。しかも、天井埋め込み式で美観を損なわないことや、強運転でも運転音は40デシベルと静音性にも優れているため、学習を妨げることもない。同校では、これを普通教室に2台ずつ設置するなど校内に86台設置。毎年メンテナンス作業を終えた11月頃から、暖房時の乾燥対策として活用している。
意識せずに感染症リスクを軽減
武内広明校長は「実際の運用は各教室の湿度状況を判断して教員が操作することになりますが、冬場は朝教室に入ると同時に電源をONにするのが習慣的になっているようです。以前は家庭用の加湿器を使うしかなく、そのつど水を補充する手間があったことを考えると便利になりました」と語る。
教室の湿度管理が大切なのは、乾燥によってインフルエンザ等の感染症リスクが高まるからだ。特に冬場は寒さのため授業中に窓を開けることが難しい。加えて、エアコンは暖房運転時には温度のみ上昇させるため、相対湿度が低下してしまう。現代の建物は気密性が高いこともあり、湿度不足を招きやすい環境にあることが指摘されている。
その点について尋ねると、「養護の先生はともかく、湿度対策をそこまで意識している先生方は少ないように思います」と末松副校長。それでも、「竣工後に赴任したため旧校舎のときと比較はできませんが、確かに学校全体でインフルエンザが流行するようなことは起きていません」と話してくれた。加湿器はエアコンと違って効果が体感しづらいものの、毎日の授業の中で子どもたちの健康が保てることに導入するメリットがある。
冷房時のかくれ脱水対策にも
一方、意外と見落とされがちなのが、夏場の冷房使用時における低湿度対策だ。とりわけ、体温調節機能が未発達な子どもはかくれ脱水を引き起こしやすいため、教室に適度な加湿を行うことが大切になる。学校へのエアコン導入が今後より一層進む中で、加湿器を上手に活用する知識が求められている。
各教室に設置された天井埋め込み式の「てんまい加湿器」