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学力がぐんぐん上がる急上昇県のひみつ

22面記事

書評

あの県あの学校がやっている学力底上げの秘策
千々布 敏弥 編
学び合いや独自の挑戦を紹介

 まさに、学力底上げの秘策満載の書である。
 本書の1章は、編者による総論で、「学力を伸ばすポイントは一つ。『すべての学校の水準を引き上げること』」と、極めて明快である。学校の水準とは、学力の水準ということではない。詳細は本書を読んでほしいが、「学力は最後についてくる」という言葉が、本書の全編を貫いていると思った。現在、学力向上に懸命に取り組んでいる教育行政や学校にとって、価値ある指南書である。
 2章は、教育委員会の取り組みであり、沖縄、大分、高知の学力急上昇県に加え、九つの自治体の事例を掲載している。各地で中心的に取り組んだ教育行政担当者が執筆している。教育行政にとって必読であろう。授業改善や組織的対応にはほぼ共通して取り組み、他にもさまざまな各県、自治体独自の積極的挑戦がなされている。課題も忌憚なく記されており、参考になるし納得できる。
 3章は、「学び合いで学校が変わった」と題し、10校の取り組みを紹介している。例えば大阪府枚方市については、2章の教育行政と枚方市立学校3校の取り組みをつなげて読むと興味深い。
 本書の前編は、学力上位県である秋田県と福井県に焦点を当てて編纂した「若手教師がぐんぐん育つ学力上位県のひみつ」である。両書を読み、教育行政担当者や学校関係者に直接会ってみると、一層良いと思う。
(2200円 教育開発研究所)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)

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