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障がいのある子を育てるのが楽になる本

12面記事

書評

川岸 恵子 著
困ったときの対処法など丁寧に解説

 本書は優しさのかたまりだ。これに尽きるといっても過言ではない。なぜだろう。もちろん、内容が書名の通りなのだから、そう感じるのだけれど、それだけではない。その訳を述べて、一風変わった書評としたい。
 まず、表現方法だろう。段落や行間の取り方が絶妙で、読みやすいのだ。タイトルの囲みも素敵である。医師、教員、父母は「お医者さん、先生、お父さん・お母さん」と表現される。なんて優しいんだ!
 解説の仕方も同様である。さまざまな悩みに丁寧に向き合い、「教える」のではなく、「一緒に話し合う」スタイルである。そして具体的事例が提示され納得がゆく。読みながらうなずいている自分に気付く。
 加えて、行政対応、生活上の法的問題、教育問題など、いわば、専門的事項に関わるものは表や箇条書きで示される。
 著者は、障がいがある子の子育て体験から地域の福祉事業に取り組んでこられた方だ。著者は「人として生きるための大切なことは、すべて彼から学んだ」と述べ、本書の執筆に当たられた。障害のある子との向き合い方、その理解の仕方、困ったときの対処法、学校生活から社会参加に至るまでが章立てされ、どこからでも入っていける。障がいのあるなしにかかわらず、子育ての参考書として一級品だ。子育てのやる気が育つ本でもある。
(1320円 現代書林)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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