心を育てるグループワーク 楽しく学べる72のワーク
14面記事正保 春彦 著
三つに分類、効果的進め方を提示
グループエンカウンター、ピア・サポート活動、ソーシャルスキルトレーニング、アサーショントレーニング、アンガーマネジメント…。子どもたちの心の問題に応じ、学校が取り入れるさまざまなグループワークがある。
本書の著者は、こうした現状の中で「各技法は専門化・細分化」が進み、活動の違いや効果が見えにくくなっていると指摘する。
そのため、グループワークに関わるコンセプトを、相互に働き掛け、反応し合いながら心のつながりを深める(かかわる)、他者や自身との出会いを通して自己理解、他者理解を深める(理解する)、他者との関わり合いの中で創造力と想像力を発揮して自己表現する(表現する)の三つに集約し、提案した。
その上で、全ての子どもを対象に、他者との関わりを媒介とし、子どもたちの心に働き掛け、楽しみながら取り組む「心を育てるグループワーク」を提唱している。
だが、一方で「グループワークは魔法の杖ではない」と指摘。他者との関わりを主にすれば、抵抗感を感じ、参加に消極的な子どももいる。教室内のグループワークは、一過性のグループワークとは違い、人間関係に影響する可能性もある。本書によって、こうした課題を乗り越え、楽しく、いかに心を開かせていくか、グループワークの心構えや進め方などを理解できる。
三つのコンセプトから収録する72のワークは、実践意欲を喚起する。
(2860円 金子書房)
(矢)