児童・生徒の自殺予防に向け、文科省が本年度初会合
NEWS 夏休みなど長期休業明けの子どもの自殺が問題となる中、文科省は10日、本年度初となる「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」を開いた。昨年度から続けてきた審議の取りまとめに向け、「SOSの出し方に関する教育」を含めた「自殺予防教育」について、各委員から「それぞれの違いを理解していない現場が多いのではないか」「学校や教委では何をすれば良いか分かりにくい」などの意見が上がった。
同省では以前から子どもの自殺予防に関して学校や教員向けに手引きを作成するなど、自殺予防教育を進めてきた。その後、2016(平成28)年の自殺対策基本法の改正を踏まえて翌年に改定された自殺総合対策大綱では、さまざまな困難やストレスへの対処方法を身に付けるための教育(SOSの出し方に関する教育)の推進が求められている。
同省が提示した審議のまとめ案では、全国の取り組みを参考に、それぞれの共通点や相違点が明記された。
どちらも小・中学校、高校の児童・生徒を対象に担任などの教員が実施する。保健師をはじめとする外部講師が授業を行うこともある。
自殺予防教育では、
(1)自他の心の危機に早く気付く力
(2)援助を求める態度
―の育成を目標とする。SOSの出し方に関する教育も、困難な事態や強いストレスに直面した際に適切な行動が取れるようにすることを目指す点で共通している。
一方で、授業時間数は異なる。自殺予防教育では2~3時間を想定するが、SOSの出し方に関する教育ではDVDの視聴を主な活動として設定し、1時間分の授業の中で教える場合が多いという。
今回の会合から新たに主査に就いた新井肇・関西外国語大学教授は、「子どもの自殺は極めて深刻な状況にある。何とかして予防法を学校の中に根付かせたい」と述べた。
この協力者会議の設置期間は本年度末まで。今後、正式な「審議のまとめ」を示す見通し。