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世界の小学校めぐり大学生ら討議

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 大手広告会社の電通は8月9日、日本と海外を比較しながら教育について議論するトークショーを開催した。ミネルバ大学からのインターン生と数カ国で教育を受けた同社の社員が参加。会場の電通ホール(東京都港区)には約450人が集まった。
 ミネルバ大学は2012年の創設。キャンパスを持たず、4年間で世界7都市を移動しながら学ぶ。全寮制を採用している。講義は全てアクティブ・ラーニングで、オンラインで行われる。
 同大からはイギリス出身のクリス・ウィルキンソンさんとモロッコ出身のイドリス・ベニスさんが出席。電通からは倉成英俊さんとキリーロバ・ナージャさんが登壇した。
 テーマは「あなたは、どの国の学校がベストだと思いますか?」。ミネルバ大の2人の出身地に、ナージャさんが学んだ日本、ロシア、アメリカ、フランスを加えた6カ国の小学校教育について、教室や先生、筆記用具など6つの観点から各国の特徴を比較した。
 日本やロシア、モロッコの教室は机が児童と教師が向き合うように並んでいる。イギリスやアメリカ、フランスは児童同士が向かい合ったり、小グループに分かれたりして配置してある。「前者は教師の話が聞きやすいように、後者は児童同士が話し合いやすいようになっている」とナージャさんは分析した。
 先生の指導法でも各国で同様な傾向が見られた。モロッコでは先生から生徒へ講義するトップダウン型、イギリスでは児童同士の議論を中心としたボトムアップ型であったと、ミネルバ大の二人が母国の環境を振り返った。
 筆記用具についても議論。日本やアメリカ、イギリスは鉛筆を、ロシアやフランス、モロッコはボールペンや万年筆を使っている。鉛筆は書いたり消したりと試行錯誤することを、ペン類は思考の跡を残し、よく考えて書くことを推奨しているのではないかとの意見が出た。
 この他にも、校舎の特徴や成績の付け方、各国特有な持ち物についても話し合った。
 ナージャさんは「どこの国がベストという正解はない。今回の議論が日本の教育を良くするヒントになれば」とコメント。倉成さんは「目的に応じたベストな選択肢がそれぞれある。子どもたちをどう育てたいかが大切だ」とまとめた。

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