進まない?学校施設の長寿命化、ブロック塀改修
12面記事補正予算でブロック塀の安全対策を進めているが
8割の公立校が長寿命化計画を「未策定」
今年4月の財務省調査で明らかに
政府が2020年度までに各市区町村に作成を求めている公共施設の長寿命化のための計画について、財務省が公立小中学校約3千校を調べたところ、今年4月時点で78%が未策定だったことが分かった。
全国の公立小中学校は、一般的に改修が必要となる経年25年以上の建物が全体の7割を占めるなど老朽化が深刻化しており、財務省は「早めの対策が必要だ」としている。そこで、文部科学省では「学校施設の長寿命化計画策定に係る解説書」を取りまとめ、全国の教育委員会に計画的・効率的に保全・更新を行うよう通達を出すなどして、計画の策定を促してきた。
事実、これらの築年数が経過した施設を一斉に建て替えるのは財政的に無理があり、計画的なメンテナンスを施すことで建て替えサイクルを現状の40年から伸ばしていく必要がある。そのためにも、長寿命化に向けた学校ごとの計画が求められているところだ。
メンテナンスへの意識の低さが課題
何より、公立学校のほとんどを占める鉄筋コンクリート造の建物は、ひび割れなどを放っておくと内部の鉄筋が腐食してしまうため、計画的な点検や修繕を行うことが重要になる。だが、2017年度に修繕などで使われた費用の約9割は不具合が生じてからの「事後的修繕」で、施設の長寿命化に重要な「予防的修繕」は1割にとどまっているなど、教育行政のメンテナンスへの意識が低いことが指摘されている。
このような要因の1つには、築20年以上経ってからの改修は国から「老朽改修」の補助金が受け取れることがあるといわれている。そのため、財務省では今回の調査結果を踏まえて、補助金支給を長寿命化に取り組む自治体に優先配分する見解も示している。なお、昨年度に支給した補助金は老朽改修が99億円だった一方、長寿命化改修は37億円あまりだったという。
改修遅れる、学校の危険なブロック塀
文部科学省は昨年6月の大阪北部地震で、小学校のブロック塀が倒れて通学中の児童が亡くなったことを受け、全国の5万校を調査。その結果、1万校を超える学校で危険なブロック塀が見つかったため、補正予算により2019年度までに改修する計画を進めていた。
しかし、8月上旬に発表した調査結果では、学校全体のうち6343校(12・4%)で安全性を確認した一方で、ブロック塀がある2万校のうち半分近い学校で安全対策や点検が終わっていないなど、対策が遅れていることが明らかになった。
その内訳は、改修や撤去などの対策を「2020年3月末までに完了させる」が3915校(7・7%)、「2020年4月以降に完了させる」が1893校(3・7%)、「外観上は問題ないが鉄筋など内部の点検が終わっていない」が3547校(6・9%)である。
この結果を受けて同省では、安全性に問題があると判明したブロック塀等について、早急に安全対策を完了すること。ブロック塀等の内部点検が完了してない場合、今後も撤去の予定のないものについては、早急に内部点検を完了することを求め、全国の自治体に取り組みを加速していくことを示唆。また、安全対策等の実施状況については、今後もフォローアップ調査を実施していく意向だ。