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CREATIVE SCHOOLS 創造性が育つ世界最先端の教育

16面記事

書評

ケン・ロビンソン+ルー・アロニカ 著
岩木 貴子 訳
多様性、深さ、ダイナミズムを柱に

 著者(ケン・ロビンソン)の米国内での講演「学校教育は創造性を殺してしまっている」のオンライン閲覧回数は3千万回を超えるという。国内外の実践も紹介し、米国などの学力水準の向上を目指す「教育標準化運動」の課題への処方箋を示した。
 公的な試験の導入、教育内容の標準化などを取り入れ、学力水準の向上を目指す教育改革は世界に広がるが、工業社会を支えた人材育成原理を超えていないことを指摘し、著者は個の価値、自己決定の権利などの信念に基づく異なる原理の必要性を主張する。
 例えば、自分の得意分野を伸ばす教育を取り入れつつ、基本的な教科を学び、意欲と未来を手にする学校、芸術を教育の中核に置き、学際的に教科を学ぶ学校などの他、PISAランキングでトップ都市にある上海を擁する中国が詰め込み式教育とは異なる人材を育てるため、作文に時間をかけ、起業を体験できるプログラムを持つ学校を深センに創設した例を紹介するのも、同じ文脈の延長にある。
 個の関心を発見できることに適切に対応する「多様性」、関心事を深く追究できる「深さ」、異年齢交流や学校外のコミュニティーとの懸け橋を築け、その過程で進化、発展していける「ダイナミズム」を兼ね備えるカリキュラムを抑圧しない教育原理の大切さを説く。
 わが国の現状を横目に読み進めれば、共有すべき課題の在りかも見えてくる。
(2592円 東洋館出版社)
(矢)

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