アドラー心理学で変わる学級経営 勇気づけのクラスづくり
18面記事学級経営サポートBOOKS
赤坂 真二 著
「成功追求型」のアプローチ
こういう本は書名で少し損をするかもしれない。アドラー心理学と聞いただけで、敬遠する読者がいるからだ。しかし本書を読むと、アドラー心理学を知らなくても、学級づくりや生徒指導の在り方について数々の知見を得ることができる。
今、さまざまなタイプの子どもたちが出てきて、学校や教師はその対応に追われている。このときの教師側のアプローチの仕方を、著者は橋本文隆氏の見解を受け入れて次の3点に整理されていた。
「原因追求型、成功追求型、問題無視型」
現職時代を思い出す。不登校やいじめ問題が起きると、すぐに会議が開かれ、原因追求型で話し合いが展開していた。原因を教師側でいくら話し合っても、残るのは徒労でしかない。まさに会議は踊るである。家庭のせいにしても、学校側のガス抜きにはなるかもしれないが、何も事態は変わらない。しかし、生徒指導の方向が成功追求型になれば、もっと学校側の取り組みがポジティブになる。
著者がこの本で主張したいことは、学級経営の問題点が「問題ばかり見ていませんか」になっていることに集約される。しかし、子どもの変化(適切な行動)を具体的に見つけた、勇気づけのクラスづくりが、今本当に求められる。原因追求型の思考・指導を脱却したい。
(2376円 明治図書出版)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)