成功事例に学ぶ カリキュラム・マネジメントの進め方
18面記事高橋 正尚・小藤 俊樹 著
短期間で成果挙げた学校経営術
2012(平成24)年度に横浜市立南高等学校内に開校した横浜市立南高等学校附属中学校は、学校への満足度だけでなく、入学後の学力の伸びなど、短期間で成果を挙げた。目指した学校像、育てたい生徒像を明確にしながら、カリキュラム・マネジメントを核にした学校経営の姿を、初代校長と初代副校長が書き記したのが本書である。
入学後にはプロジェクトアドベンチャーや構成的グループエンカウンター研修、コミュニケーション研修などで生徒たちの心を解きほぐし、学び合える関係づくりを大事にする。その上で「学校はまちがうところだ」という意識を計画的に育み、意見を交わせるなど言語的活動を展開できる教室環境を確保する。
国数英の授業は毎日できるよう時間割を組んで、土台をつくる。教科内でも例えば、英語の「5ラウンド」制のように学習効果を上げるための工夫を凝らす。高校入試のない中だるみ期間は英検、数検などを活用して努力目標を明確にする。部活動も1年次は6月入部とし、平日は3日の活動日。家庭学習では生徒自身に計画を立てさせ、勉強時間を「レコーディンググラフ」化して意欲を高める。こうした教育活動を支える教員集団の在り方、一貫校での会議の持ち方も参考になる。
管理職らがそれまでの学校経営経験を生かし、その集大成として、新しい学校を創る。そんな息吹を感じることができる。
(2484円 教育開発研究所)
(矢)