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生徒1人1台の環境でICT活用能力が向上

11面記事

ICT教育特集

「電子黒板」と「学習用パソコン」を連携した授業

佐賀県全体での取組

 佐賀県教委が、ICT利活用に係る調査の結果を公表した。タイピングスキル調査では県内高校1年生の文字入力能力に短期間で向上が見られた。またICT利活用に関する県立高校生の意識調査では、全11項目のうち10項目でタブレットやPCの使用頻度が全国平均を上回った。この背景には、県全体で生徒がタブレット型パソコン(以下、学習用パソコン)を使える環境を整えたことがあった。この取組について、佐賀県教育庁教育情報化支援担当の白濱正博指導主幹に聞いた。

 調査は県教委が3月19日、「ICT利活用教育事業改善検討委員会」で報告した。
 タイピングスキル調査は、生徒の入力文字数の推移について、平成30年5月と7月、今年2月を比較する形で実施。県立高校1年生2507人を対象にした調査では、5月は1分間に平均47・7文字だった文字入力の速度が7月に59・2文字、さらに今年2月には70・3文字に向上した。県教育情報化支援室は「1人1台のPC環境であることと、日頃の学習活動などを通して、基本的な技術を身に着けるきっかけになっている」と分析している。
 またアプリケーションの使用に関する意識調査では、全て平成28年の全国平均の結果を上回り、世界と比較しても高水準の値だった。例えば、表計算ソフトの使用頻度では佐賀が23・0%で、米国27・1%、中国23・4%、韓国23・6%と同水準だった。情報検索では、中国76・9%、韓国71・8%を上回り、佐賀は82・3%で米国85・5%と並んだ。学習ソフトやアプリ活用では佐賀は47・7%で韓国39・6%や平成28年度の全国平均の結果29・2%を上回った。
 佐賀県は、ICT利活用教育の充実による教育の質の向上を目指し、平成23年度に事業化、機器の整備と人材育成を一体的に推進してきた。生徒が日常的に学習用パソコンの活用をしているからこその今回の結果である。白濱氏は取組のポイントを次のように語った。
 「機器整備及び、学校のニーズや校種等に応じた教職員研修の充実、また、一人ひとりの個性や能力に応じた分かりやすい授業の実現があり、県全体で取組を推進してきた。また推進力となったのは、生徒の情報活用能力の向上に向け、ICTを効果的に活用すべく前向きに取り組む本県の教職員の力が大きい」
 全県挙げての取組のポイントとしては、導入時より「推進体制の確立」「人材育成」「広報」の3つの柱を設けて進めてきた。「推進体制の確立」「人材育成」として、県と市町教育委員会が相互に連携・協力するため、「佐賀県ICT利活用教育推進協議会」を設置。また、「ICT利活用教育事業改善検討委員会」を設置し、有識者や各団体からの意見を参考に事業を展開した。また例年12月に、「教育フェスタ」を開催。教育関係者に限らず、保護者や一般の方々にも県の進捗状況等を継続的に発信し、生徒・保護者及び県民に向けて「広報」してきた。
 また教員研修も段階を追って内容を精選し、平成28年度に学習用パソコン1人1台が全学年の展開となって以降は、校種や教員のスキル、理解度等に応じた研修を実施し、ICT利活用教育の着実な実施に向けて研修体制の充実を図ってきた。
 こうした体制づくりの成果もあって、各教科の授業でICTを有効活用することはもちろんのこと、英語の資格取得に向けICTを活用したり、自学自習にICTを活用することで個別指導の時間を確保できるようになったり、進路指導に生かすためeポートフォリオの活用に取り組むなど、学校が掲げる目標や特色ある取組にICTの活用を据えた例も見られるようになってきた。
 このような中、県教育委員会では、今年度は、これらの好事例を各校に広め、県立中学校及び特別支援学校でもこの取組を展開し、県立学校全体のICT利活用教育の充実を図っていくとともに、今後も、引き続き、校長のリーダーシップによる、学校ごとの取組目標に基づいた教育活動への支援をしていきたいとしている。


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