大学生が「みらいの教育を考える学習会」開催
6面記事会場の様子
働き方改革の議論が進む中、職場としての学校、職業としての教員の働き方に大きな注目が集まっている。そんな中、学生たち自らが、将来の職場となる学校や教育について真剣に考えよう、というムーブメントが起きている。
4月27日、東京都中央区で、「みらいの教育を考える学習会」(ティーチャー・エイド関東ブロック、埼玉大学教育学部生の会主催)が開かれた。参加したのは、教育学部の学生を中心に元教員や研究者など25人。参加者は課題図書となった『みらいの教育―学校現場をブラックからワクワクへ変える―』(武久出版)を事前に読んで学習会にのぞんだ。
会の初めに、主催者代表の石原悠太さん(東京学芸大学4年)が学習会の主旨を説明後、対話の基本ルールを「人の発言をさえぎらない、否定しない。しゃべる、しゃべらないは自由」と伝えた。
その後、4班に分かれ、「どのような教育が『よい』教育か」と「給特法と現在の労働環境」の2つのテーマで活発に意見が交わされた。班ごとに内容をまとめたボードを用いて全体で共有した際には、個性あふれる発表に何度も笑いが起きた。
発表に立った茨城大学の宮澤侑さんは「私の班は、給特法は本当に悪なのかという切り口から考えてみた。対話するうち、制定当初は教員の自由度を保障する制度だったと気づき、時代の変化で本質とずれてしまったのだとはっきりしてきた」。
また、ゼミで教育法学を学んでいる埼玉大学の栗田涼平さんは、「給特法という言葉が一般にも広がってきたが、世間ではお金の問題という認識で止まってしまっている。大事なのは教員の多忙解消。給特法は、定数改善などその他の法制度と一緒に考えなければならないと思う」と語った。
会終了後もほとんどの参加者が会場に残り、三々五々、意見を交わす姿がみられた。
都留文科大学の坂井渓太さんは、この会をSNSで知って申し込み、山梨県から駆けつけたという。「同じテーマでも班によって捉え方やアプローチが違って、大きな学びがあった。多様な人が集まることの面白さ、大事さを実感した」。
元教員の参加者も目立った。今年の春まで教員だった佐藤由希さんは、「学生の間にこのような会を持てるということが羨ましくもあり、頼もしくもある」。
ティーチャー・エイド東京支部代表の石原さんは、「自分たちはまだまだ未熟。だからこそ、もっといろんな人の意見や経験談を聞きたい。今後は学校の管理職や行政、民間の社会人など様々な方とみらいの教育を考える機会をつくりたい」と意気込みを語った。
ティーチャー・エイドは、教員一人ひとりを幸せに」を掲げ、学校の労働環境の整備や教職志望学生の意識を高めるための活動をしている。昨年12月、京都教育大学の学生二人で立ち上げて以来、4カ月で13支部100人規模に成長し、全国各地でイベントを開催している。6月8日、東京・小金井市の東京学芸大学でシンポジウム「Let’s Think~みんなで考えるカラフルな教育~」を開催する予定だ。