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データから考える教師の働き方入門

16面記事

書評

辻 和洋・町支 大祐 編著
中原 淳 監修
個人と組織の改善方策を示唆

 “データから考える”ことで、「教師の働き方を検討する」ことが本書の特徴。横浜市教育委員会と立教大学経営学部中原淳研究室の3年間にわたる共同研究の成果。数字で示すデータとリアルな語りで、(教師の)働き方の是正に迫ろうとする。「データに基づけ」、しかし「リアルな物語を編め」が、この共同研究の特徴だ。本書もまた、その方針で編集されているので読みやすい論述。
 「『忙しい先生』たちの毎日」が序章。四つのケースで現状を報告。第1章が、「なぜ今働き方を考えるのか」で、(1)学びのアップデート(2)人材確保の持続可能性(3)大量採用世代の今後と働き方―などから、自律的な働き方改革を検討する。「数字で描く教員のリアル」は第2章。データは豊富で図解も多く、教員の実態を(ア)時間(イ)意識(ウ)職場―の3視点で分析する。長時間労働する教員の特徴、長時間労働に結び付いていく職場環境等が、はっきりと示される。
 そして、「データから考える働き方改善」は第3章。個人でできる手段について、三つのタイプ別に対応を示唆。組織の取り組みについて六つの進め方を示す。そして、「働き方を見直すアイデアとポイント」が第4章。トップダウンとボトムアップの双方だ。教員の働き方の対談は第5章(終章)にある。
(2484円 毎日新聞出版)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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