学校施設の木材利用が確実に浸透
12面記事文科省の調査結果から
新築校舎の7割が木材利用
1月に文部科学省が発表した最新の「公立学校施設における木材利用状況に関する調査結果」によれば、平成29年度に新しく建築された学校施設886棟のうち、7割近くの592棟で木材を使用。そのうち木材校舎は約2割の204棟、非木造施設のうち内装木質化を実施した施設が約4割にあたる388棟だった。また、その木材使用は5万6千平方mに及び、そのうち2万平方mが木造施設で、3万6千平方mが非木造施設の内装木質化等に使用されている結果になった。
これら木材利用の割合は、調査を始めた平成25年度からほぼ同率に近い数値を続けており、新築する学校施設については木材利用が確実に浸透していることが分かる。
学校施設に木材利用を推進する理由には、木材特有のやわらかで温かみのある感触や優れた調湿効果という機能面のほか、地球温暖化防止への貢献、地域材の活用などによる地場産業の振興という側面も持っている。
地域材や内装木質化の活用を推進
こうしたことから文部科学省では、平成19年度を皮切りに学校施設に木材を活用するための手引書やパンフレットを作成して普及に努めている。また、そのための財源支援として、新増築が2分の1、改築や大規模改造等、木の教育環境施設(専用講堂や既存施設を改造した和室や心の教室等)には3分の1の割合で国庫補助を設けている。
さらに、近年では地域に埋もれている間伐材を活用することが重要視されているほか、耐久性に優れ、設計・加工もしやすい木質材料も増えていることから、エコスクールとして認定を受けて内装木質化を行う場合と地域材を活用して木造施設を整備する場合は、補助単価を2・5%加算できるように配慮。加えて、林野庁・国土交通省とも連携し、地域材や木造・木質化等に係る先導的技術を使用する整備については、優先的に補助ができるよう措置している。
「木の学校づくり」を計画する手引きを改訂
一方、そんな木材利用によって、子どもの精神面にもたらす効果や温暖化抑制への貢献が指摘される反面、未だに耐久性やコストに問題がある、防火・耐火が難しいといった理由で木の学校づくりを躊躇する傾向があるのも事実だ。
こうした声に応えるため、文部科学省では「日本建築学会 文教施設小委員会 木材を活用した学校施設に関するWG」(主査=長澤悟 株式会社教育環境研究所 所長)の協力を得て、平成11年に発行した「木の学校づくり~その構想からメンテナンスまで~」を20年ぶりに改訂した。本書では木材を活用した学校施設を計画するにあたって、必要となる知識及び技術を容易に理解できるよう、その留意点について幅広くかつ具体的に解説。これを参考にして、教育や地域づくりに寄与する学校施設の木材利用がより一層推進していくことを期待している。