日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

問いを創る授業

20面記事

書評

鹿嶋 真弓・石黒 康夫 編著
「教師の発問」から脱却、深い学びへ

 同じ中学校での勤務経験があり、『たった一つを変えるだけ―クラスも教師も自立する「質問づくり」』(ダン・ロスステイン、ルース・サンタナ著)という本に共鳴した2人が、日本の実情に合った形での「問い」づくりの指南書として提案したのが本書である。
 編著者が子どもの言葉で創る問いを授業として取り組む必要性、授業への思いを語る「対談」を挟んで、主体的・対話的で深い学びにつなげるために、子どもの言葉で問いを創る授業の考え方、進め方を紹介した。
 前出の翻訳書を参考に、導入・ルール確認から不思議のタネの提示、問いを創る、問いを絞る、問いを使う、まとめ(ふりかえり)の六つの基本形などを提示し、それぞれ解説した。
 さらに基本形を生かした初回授業の実際から、日常的な授業へと活用できる小学校編として9実践事例、中学校編として5実践事例を掲載した。要所に「子どもの言葉で問いを創る授業」を挿入することで、日常の授業に際しても、子どもが自ら疑問を抱き、学習したいという意欲へとつながる。
 編著者らは任意団体「TILA教育研究所」(http://tila.main.jp/)を設立し、教育委員会などへのコンサルテーション、子どもの言葉で問いを創る授業を目指した研修会・講習会も主宰する。
 「教師の発問」から脱却した授業づくりの一助になる。
(2592円 図書文化社)
(吹)

書評

連載