英語を使う仕事はいかが 修学旅行生が「通訳」に挑戦
19面記事東京・江東区の職業体験型施設で
早くも修学旅行シーズンを迎え、「エデュテインメントタウン」を掲げるキッザニア東京(江東区)は修学旅行生でにぎわっている。この施設には実際の民間企業が協力。数時間で幾つもの職業が体験でき、働いた対価として支払われる通貨で買い物ができる。今年は新たに、英語の4技能を培うきっかけになるように、外国人スポーツ選手による記者会見の場を設定、修学旅行生は通訳として選手の会見を手助けする経験を積んでいる。
メキシコで誕生したキッザニアは平成18年に東京でも開業。今では中南米、アジア、中近東諸国を中心に20カ国に広がる。日本では、兵庫・西宮市にも「キッザニア甲子園」の名で開業し、やはり、修学旅行生を受け入れている。
開業して間もなく、英語を使ったプログラムに力を入れ始めたキッザニア東京は、広大なショッピングモールの一角にある。
ゲートをくぐると、子どものための異国の地に到着したような雰囲気になる。床面には道路があり、商店をはじめ、警察署や消防署といった官公署や工場がある。バスが走り、スポーツクラブなどのサービス業、新聞社・出版社などのメディアの職場もある。
入場料を支払うと、このような職場で協力企業の社員のような経験を積むことができる。働くと、独自通貨がもらえ、実在する百貨店が協力する売り場で商品を買ったり、他の子どもたちが職業体験をしている職場でサービスを受けられたりする。飲食物も売っているが、こちらは、円払いに限っている。
普段は日本語で、一連の仕事と買い物ができるが、英語を使って活動するプログラムもある。そのため、英語が得意な外国人を配置している。
外国人スタッフ、プロゴルファー役で記者会見
協力して日本語に
キッザニア東京では、このような普段のプログラムに加えて4月から5月にかけ、中学生を主な対象とした企画を設けてきた。夕方から夜の時間としているため、「夢もたナイト」と名付けている。これまでのところ修学旅行で東京を訪れた中学校が多く活用した。
今月10日には福島市立蓬莱中学校の3年生が修学旅行の初日にキッザニア東京を訪問。一部の生徒が通訳として記者会見を体験した。
3人のプロゴルフ選手が海外から来日し、大会前の意気込みなどを記者に説明する場面を設定。選手はキッザニアの外国人スタッフが務め、日本人スタッフの質問を修学旅行生が英語に訳したり、選手の言葉を日本語に訳したりする。
所要時間は30分余り。前半は、司会を務める日本人スタッフが、通訳という仕事について説明した他、あらかじめ、質問を日本語と英語で示しておいた。選手が使いそうな言葉を予想させ、英語での表現も伝えた。
後半に入ると、3人のスタッフが空港の入国ゲートを模した入り口から来場。通訳を務めることとなった6人の生徒は記者会見場まで同行した。
前半に指示していた通り、記者会見場では選手の後ろに座って司会者の言葉を待った。
最初の質問。この大会への出場は何回目か、との問いに対し、3組の通訳たちは、選手に英語で耳打ち。この段階では通訳用に用意したプリントを読むだけで済む。
それを聞いた選手たちは、出場回数に加えて「緊張している」などの感想を交えて発言。通訳を務めた中学生は発言を全て日本語に訳す組があった一方で、何とか、回数だけを答えた組もあった。
司会者からの質問は計4問。海外遠征が多いために持っていくものは何かなどにも質問は及んだ。選手は、「香水」などと答えた上で、その理由も付け加えた。生徒は協力し合いながら選手の発言を聞き取り、日本語に訳して答えていた。
今回、通訳を体験した6人の生徒は、学校側から声が掛かって、このプログラムに参加したという。既にオーストラリアに渡航した生徒など、英語の力を持つ生徒を交え、プログラムをこなした。生徒は、「生の英語は難しい」と話す一方で、通訳という仕事について「面白そうだと思った」などと感想を語った。
キッザニア東京では、来年もこのようなプログラムを設けたい考え。各地の中学校などから参加を募っていく。