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インクルーシブ社会の実現に向けて新生記念イベントを開催

10面記事

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「デジタルトランスフォーメーション共生社会におけるアシスティブテクノロジーの役割を考える」
日本支援技術協会(JATC)

 一般社団法人日本支援技術協会(JATC)は、取り組むテーマの拡充、リスタートにあたり、新生記念イベント「デジタルトランスフォーメーション共生社会におけるアシスティブテクノロジーの役割を考える」を3月12日に都内で開催した。
 その記念講演で、巖淵守氏(早稲田大学人間科学学術院教授)、山田栄子氏(内閣官房情報通信技術総合戦略室参事官)が、共生社会について語った。
 巖淵氏が強調したのは、すでに身の回りにあるテクノロジー、「アルテク」の活用だ。巖淵氏は「これにより、障害という壁を乗り越えられる」と語る。重度障害児に音楽を聴かせ、動きを読み取るカメラで記録すると、音楽の有無に応じ、人の目には分からない程度に顔が動いたり止まったりすることを確認できた。彼に聴力があることが分かり、コミュニケーションの可能性が開いた。
 別の例では行動ログと気象などの環境情報を収集することで、次の発作のタイミングを予測し、対応しやすくしている。
 「すでにあるパソコン、スマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラ、クラウドなど『アルテク』の活用は有効だ。障害は社会がそれ自体の基準で決めたものだ。テクノロジーで社会は変わる。いつか社会から障害はなくなる」と巖淵氏は語った。
 山田氏は法律や政策を紹介した。2000年に「IT基本法」が制定、2018年に「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が策定された。今後も府省・官民でのデータ共有など、デジタル化は加速し、健康・医療・介護分野でも多くのデータを活用できるようになる。
 「デジタル技術でどんな新しい社会を実現していくのか、若い方々に考えてほしい」と山田氏は語った。

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