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高校授業「学び」のつくり方 大学入学共通テストが求める「探究学力」の育成

15面記事

書評

稲井 達也 著
長年の実践知も生かし改善を

 高大接続改革を視野に入れた授業作りの在り方などを提案した。
 「高校授業の『これまで』そして『これから』」「これからの高校生に求められる資質・能力」「<大学入学共通テスト>モデル問題の背景を考える」「高校に適したアクティブ・ラーニング型授業改善のポイント」「教科マネジメントで生徒の学力を高める」「『主体的・対話的で深い学び』と学びを成長させる評価」「探究型学習の挑戦」「新学力向上授業実践プラン」の章立てを見ても、今日的な教育キーワードがちりばめられている。
 しかし、本書は単に新たなトレンドだけを追っているわけではない。著者自身は高校現場での教員経験があり「これまで長年にわたって積み重ねてきた高校教育の方法知や実践知を手放す必要はない」「今あるものを生かして改善していくこと、否定せず、受け止めながら、少しずつ前に進むことが長続きする要諦」と地に足の着いた対応を求める。
 例えば、授業の展開で提案するインプット→インテーク→アウトプットなども題材、時宜に応じてアクセントを付けていくことを勧める。それは、基礎的な知識・技能の重要性を深く理解しているためだ。
 より詳細な授業シラバスに「総合的評価」という表現にとどめず、評価の観点とその比重も併せて提示する提案などは「少しずつ前に進むこと」のできる改善である。
(2160円 東洋館出版社)
(吹)

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