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うんちはすごい

16面記事

書評

加藤 篤 著
多様な話題で排せつ見直す

 著者はNPO法人日本トイレ研究所の代表理事。以前から子どもの便秘問題や、幼児期からのトイレトレーニングの必要性、震災時に学校に避難してきた人々の排せつの課題など、教育分野でも重要な発信を続けてきた。
 今回は「うんち」を総合的に捉え、そのうんちくを全6章にわたって語った。
 うんちを構成する成分とは何か、トイレットペーパーには裏表があるのか、富士山のトイレ事情は今どうなっているのか、羽田空港が世界一美しいトイレといわれるのはなぜか、どういうトイレの配置だと行列ができにくいのか、高齢者や障害者に優しい多機能トイレの抱える課題とは何か、便秘とは週何回の排せつ状態を指すのか…など、バラエティーに富む話題を取り上げる。
 著者は学校への出前授業も試みている。子どもたちに「うんち」の大切さを語ることで、排せつへの羞恥心を解消し、明るく学校生活を送れるようになった子どものエピソードなどは、うなずけるところだ。
 小学生と排せつを巡る提言では、小学1年生にうんちの大切さを伝える授業をする、便意を催したら授業中でも行けるようにする、親子で校内のトイレを掃除する機会を持つ―と熱く語る。排せつは生きることそのものでもある。
 災害時のトイレの知恵などは、学校関係者もぜひ読みたい。
(907円 イースト・プレス(イースト新書Q))
(矢)

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