不登校の子どもの理解と支援 学校で今できることは何か
16面記事寺田 道夫 著
登校拒否、対処の段階表示す
1974年に教師になった評者の学級には、不登校の子どもはいなかった。しかし教職人生の最後の方で管理職になり、不登校の現実に出くわし、学級担任や養護教諭などと連携して、不登校の子どもへの指導を模索した。
本書を読みながら、実に不勉強であったことを痛感させられた。しかし本書は不登校を抱えている学級担任向けではない。著者は、管理職、スクールカウンセラー、相談員、臨床心理士などの読者を想定している。
だから、「心理臨床家と教師との間に今もなお、不登校に対する認識のズレがあります」と直言する。正直言って、現職時代に評者もこのズレを感じることがあったものだ。
しかし、そんなことはもう言っていられない。「年間12万人前後」という不登校の数が、関係者のさらなる連携を求めるからだ。
本書には詳細な「登校拒否の対処の段階表」が示され、各段階の理解を迫る。さらにまた、不登校事例に対する教師の対応を示す。a不登校の兆しに気付かない、b放置と抱え込み、c再登校に固執、dひたすら待つ、e迷いつつ関わる。
学校現場なら、この状態をまずつくらないようにしたい。本書は理論と実践が融合した不登校指導論になっている。
(3024円 ナカニシヤ出版)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)