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集中講義 高校生の経営学 経営学部の受験を迷っている人に

16面記事

書評

洞口 治夫・小池 祐二 編著
英会話や古典文学を教材に

 本書に引き込まれた、といって過言ではない。手にしたときは「マネジメントのノウハウでも書いてあるのか」といった薄っぺらな気持ちだったが、読み終えた今は、良書を見つけた充実感で自分を褒めたいくらいだ。その理由を以下、列挙したい。
 第一に、出版意図の明確さである。なぜ本書を世に問うのか、前書き(本書では「はしがき」)を読んだだけで理解できる。美辞麗句はなくても本文を読みたくなる。
 第二に、構成の巧みさだ。通常の章立てでなく、1日目の1時間目~5日目の3時間目というように、まるで、講義を聴くかのごとく構成されているのだ。心憎いばかりの配慮を感じる。
 第三に、教材選択の面白さだ。冒頭に記したように「経営といえばマネジメント」と単純な発想しか浮かばない評者と違い、本書では、数学的思考、英会話、古典文学などが登場する。その幅広さが、経営学との関わりの中で語られる。学びの楽しさとつながるものだ。
 第四に、誰でも知っている有名なメーカー、ブランドネーム、著名な創業者、歴史ある組織等々も登場する。経営学への関心はいやが上にも高まろう。
 本書の主たる対象は、進路に迷う高校生諸君のようだが、現代社会を生き抜く上の指南書ともいえる。お薦めできる好著だ。
(2376円 文眞堂)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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