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少子化に対応した学校教育充実の処方箋

15面記事

書評

進む学校の小規模化にどう向き合うか
高橋 興 著
存続戦略、廃校後の対策例も

 少子化の波は毎年の学校数に表れる。文科省の学校基本調査を見れば、公立小学校で200~300校、公立中学校で50~80校が消えていくことが分かる。その数字は、地域での学校統廃合という現実につながっている。
 地域の核ともいえる学校がなくなることで、地域から子どもの声が消え、住民の高齢化と相まってコミュニティーそのものの衰退を招く例もあるという。
 本書は、統廃合を「デメリット」にしない事例、統廃合せず学校を存続させる事例、統廃合できない学校による事例などを、著者自身が足を運び、まとめたものだ。
 既存校舎を活用した義務教育学校の実現、廃校後の地域の教育環境を校区公民館に託す試み、学習塾と提携し山村留学制度で学校存続を図る取り組み、ICTや英語などの教育を重点化することで児童・生徒を引き付けようとする戦略など、九つの事例に紙幅を割く。
 各地の実践から、統廃合に代わる取り組みの議論を深めることや、地域創生につながる視野を備えた対策を取ること、小・中学校の問題ではあるが都道府県教委も課題を共有して打開を図る必要性などを、著者は提言する。
 少子高齢化を前に、学校の統廃合が俎上に載らない自治体はないだろう。その悩みの解消とまではいかなくとも、それぞれの自治体がどういう方向で試行錯誤していくか、考えるための材料にはなるはずだ。
(2160円 ぎょうせい)
(矢)

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