映画を観て、自分の想いを表現
6面記事左から受賞者の上羽宏明さん、森脇茉菜さん、髙田あゆ子さん、大家衣濃理さん
(C)キネマ旬報社 撮影=椿孝
映画感想文コンクール2018
全国大会 グランプリ表彰式開催
全国の小・中学生に、映画に触れて、観て、感じたことを自分の言葉で表現してもらうことで、子どもたちの表現力の醸成を目指すとともに、映画を好きになってもらおうと開催されている「映画感想文コンクール」(主催=全国映画感想文コンクール実施委員会)。第5回目となる本年度の受賞者が決定し、2月10日に東京都内で表彰式が開かれた。
本年度から感想文の募集対象にこれまでの小学生に加え、中学生の部も設けられたこともあり、応募作は過去最多7031編にのぼった。その中から、小学校低学年の部は上羽宏明さん(東京都荒川区立瑞光小学校2年生、鑑賞作品『未来のミライ』)、中学年の部は森脇茉菜さん(関西大学初等部3年生、鑑賞作品『ワンダー 君は太陽』)、高学年の部は髙田あゆ子さん(埼玉大学教育学部附属小学校5年生、鑑賞作品『未来のミライ』)がグランプリを受賞。はじめての募集となった中学校の部は、大家衣濃理さん(奈良県立青翔中学校3年生、鑑賞作品『言の葉の庭』)がグランプリに選ばれた。
映画感想文コンクールの表彰式は、今回で92回目を迎えた「キネマ旬報ベスト・テン」表彰式のプログラムの一つとして開催。グランプリを受賞した4人は、会場に詰め掛けた多くの映画ファンが見守る中で表彰された。
4歳の主人公の前に未来から高校生の妹が現れ、不思議な冒険を繰り広げる『未来のミライ』の感想で受賞した小学校低学年の部の上羽さんは、この映画をきっかけに「お兄ちゃんと仲良くなれて良かった」そうだ。「作文が苦手だったので、嬉しいというより驚き」と語るのは、同じく『未来のミライ』で受賞した高学年の部の髙田さん。この夏には映画を4作品鑑賞したそうで、「これからもたくさん映画を観て色々なことを学びたい」と話している。
生まれつき顔立ちが人と違う主人公が小学校に通い始め、周囲も自身も変化していく様子を描いた『ワンダー 君は太陽』を取り上げた中学年の部の森脇さんは、「この映画を観てたくさんの勇気をもらった」という。
主人公と自分を重ねる
中学校の部の大家さんが取り上げた『言の葉の庭』は、靴職人を目指す高校生と年上の女性が、出会いなどを経てそれぞれ一歩踏み出していく姿を描いたアニメーション映画。大家さんは、自身が学校に通えなくなってしまった経験と、主人公たちの未来を模索する姿を重ね合わせ、「いつか私が、人生を歩けなくなりそうになったら、またこの映画に会いたい」と綴った。大家さんは「私が書いた作品を認めてもらって、本当に光栄」と受賞の喜びを語った。
また、昨年度から設けられた団体賞には関西学院中学部(兵庫県西宮市)が最優秀賞に選ばれた。河野隆一教諭によると、夏休み前に映画感想文コンクールを紹介したところ、多くの生徒が応募してくれたという。「世の中にはいろんな作文のコンクールがあるが、映画好きの僕にとってぴったりのコンクール」と2年生の小西翔也さん。「これからもいろんな映画を観て、また応募したい」という。
映画感想文コンクールは今年の夏も開催を予定しており、昨年以上の盛り上がりが期待される。
グランプリ受賞作も含めた入賞作はホームページ(http://www.kinenote.com/main/eigakansoubun/award.html)に掲載されている。
団体賞を受賞した関西学院中学部2年生小西翔也さん