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知財創造教育【第5回】体系化の成果

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 知財創造教育の体系化(第4回連載参照)は、学習指導要領の公示の順序に合わせ、平成29年度は小中学校を対象に、平成30年度は高等学校を対象に行いました。体系化にあたっては、その成果を用いて「新しい創造を行う」ことや「創造されたものを尊重する」ことの意義について教員が指導することも想定して、授業を受ける児童・生徒自身も「何のために学ぶのか」、「学んだことが日常生活や社会にどのように役立つのか」という学習の意義を理解できるよう、平易な表現で説明をすることとしました。
(文=仁科雅弘・内閣府知的財産戦略推進事務局参事官)

 このうち知財創造教育の内容を説明する資料では、知財創造教育の目標を発達段階に応じて設定しました。例えば、小学校段階においては「創造されたものによって社会が豊かになっていることに気付くことにより、創造されたものを尊重することの意義について理解を深め、楽しみながら自ら創造していこうとする態度を育成する。」と目標を設定しました。
 また、「『新しい創造をする』ために必要な能力の育み方」、「『創造されたものを尊重する』ために必要な態度の育み方」を事例とともに示しました。特に、前者の育み方の説明では、「課題を見出し、どうすれば変えられるかを考えて実行する力」、「自分の思いや考えを文章・絵・音などで表現する力」、「将来を描き、夢を実行したり、社会・文化を形成する力」に分けて、それらの育み方の例を示すとともに、指導方法についても、単に「教える」のではなく、「認める、褒める」ことを通じて児童・生徒が有する能力を引き出すことや、グループ形式による相互学習や問題解決学習(Project―Based―Learning;PBL)を通じて、協働して能動的に何かを作り上げること(小さなオープン・イノベーション)などを提示しています。

 さらに、学習指導要領の内容を、「(1)知財の決まりを知る」、「(2)新しい創造をするための思考力、判断力、表現力を育成する」並びに「(3-1)新しいものを創造しようとする態度を育成する」及び「(3-2)創造されたものを尊重する態度を育成する」に対応付けて整理した資料(対応表)を作成しました。

 加えて、知財創造教育が普段の授業の中で行えるものであることを学校教育現場の教員が理解できるように、教員が見慣れた年間学習計画表において、各単元と知財創造教育の三つの柱との対応関係を色分けで示した資料も作成しました。

 これらの資料においても、「新しい創造をするための思考力、判断力、表現力等を育成する」ことが、全ての教科等を通じて行えることを示しています。

 なお、「『新しい創造をする』ことを育む」というと発明教育のようなものが想起され、理系教科で育まれるものと思われる方もおられるでしょう。しかしながら、ビジネスの仕組み、社会のルール、そしてマンガや音楽に代表されるコンテンツを新たに創り出すことも含めて考えれば、理系教科以外の教科を通じて育むことができることを理解いただけると思います。

 体系化の成果については、知的財産戦略本部の知財創造教育のウェブサイトに掲載していますので、是非ご覧ください(注1)。

 次回は、知財創造教育に活用可能な教材等の収集・提供について説明します。

 (注1)知的財産戦略本部「知財創造教育」のウェブサイト
 (https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tizaikyouiku/taikeika.html

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