東日本大震災から8年(4) 岩手・陸前高田のホテル
NEWS 記者は取材のため、現地へ向かう。そのための宿泊先を選んでいる余裕はほとんどない。今回、岩手県陸前高田市の教育長へのインタビューのために予約した宿もそうだった。
8年前の東日本大震災で津波に飲まれた陸前高田市。先月下旬、鉄道とバス、タクシーを乗り継いでたどり着いた。
真っ暗な寒い冬の夜。津波のため鉄路を失った路線の代行バスで陸前高田の「駅」にたどり着く。宿までのタクシーを待ちながら、真新しいスーパーマーケットで買ったコロッケを立て続けにつまむ。
予約した宿は「陸前高田キャピタルホテル1000」。同市では、唯一のリゾートホテルだという。震災後、再建したばかり。6時間におよぶ移動の後には、ともかく快適な宿だったが、室内の机に、つつましく納められていた本を開くと、このホテルが震災を通して紡いできた物語で身が震える。こんな苦労を乗り越えてきたのか。