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エアコンだけじゃない、学校施設整備における暑さ対策

12面記事

施設特集

暑さ対策として取り付けられた外付け日除け(埼玉県立浦和高校)

 夏季の気温が年々上昇し、児童・生徒の熱中症への危険性が高まる中、学校施設においてもさまざまな「暑さ対策」に工夫を講じる必要が生まれている。こうした中、埼玉県教育委員会では校舎の建て替えや改修時に参考にしてもらえるよう、エアコン設置以外の暑さ対策を一覧化した「学校施設整備における暑さ対策について」(平成24年1月改訂版)をホームページで公開している。
 そのねらいについて「学校施設の暑さ対策をどのようにするかは学校設置者である各自治体が判断することですが、エアコン以外にも屋上緑化や自然通風を生かした換気、日除けなどいろいろな対策が考えられることから、これらを一覧化して紹介することで情報提供できればと考えました」と語るのは、教育局財務課の担当者だ。

日射の遮蔽や自然通風など5つの工夫を事例で紹介、イニシャルコストも

 ここでは学校施設で取り入れることができる暑さ対策を、

 (1)日射の遮蔽
 (2)屋上の断熱
 (3)自然通風の活用
 (4)地中熱の活用
 (5)ミストシャワー

 という5つの項目に分け、それぞれの特徴や留意点などを実際の施工例と一緒に紹介している。特に特徴的なのはイニシャルコストも明記していることだが、これも「導入するにあたっては暑さ対策の効果に加え、費用も気になるところ。そのため、およその目安になる参考価格として掲載しています」と説明した。
 そんな事例の一つとして紹介されているのが、日射の遮蔽を目的に、外壁の窓上部に日除けを取り付けた県立浦和高等学校だ。これは平成18~20年度に環境省「エコスクール・パイロットモデル事業」のエコ改修工事として行われたもので、太陽光発電設備を併設して学校内の電力として活用しているのが特徴になっている。
 また、埼玉県は熊谷市など夏場の気温が高くなる地域が多いこともあり、小・中学校も含めて、直射日光を防ぐゴーヤやアサガオの植物を利用した「緑のカーテン」を設置する学校が多いという。
 学校の暑さ対策は今や喫緊な課題。老朽化などで校舎の改修が進む中で、エアコン設置だけでなく、こうしたエコの視点を取り入れた暑さ対策にも配慮し、快適な学習環境を創造してほしい。

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