地震災害にむけた学校の取り組み
11面記事文部科学省の「防災業務計画」から
文部科学省では、地震・台風などの自然災害における児童生徒の安心・安全を確保するため、国が定める災害対策基本法に基づき「文部科学省防災業務計画」(平成30年10月)を策定し、防災教育の充実や学校施設の防災機能強化などを図っている。ここでは、その中から地震災害対策を取り上げる。
地震災害を想定した対策や連携を
学校の災害予防対策は被害を最小化する「減災」への備えが基本になるため、耐震性を確保した上で不燃化および堅ろう化を促進することが求められる。したがって、既存施設については必要に応じて補強・改築を行い、安全性の向上を推進すること。また、電気やガス、給排水等のライフライン、および天井や照明器具等の非構造部材等についても、定期的に安全点検を行い、予防措置を講ずることとしている。
次に、防災機能の整備については、災害時に迅速な消防、避難救助が実施できる施設・設備の整備が必要になるため、飲料水や食料、資材等の備蓄や救助設備の整備を促進することが挙げられている。その上で、避難者の安全を確保するための対策として、設備・機器の転倒防止、伝染病等の保健衛生、ガスや石油など危険物の保安に留意するよう求めている。
さらに、災害時に地域の避難所となる学校は、日頃から災害対策担当部局との連携強化を図り、いざというときに円滑な運営や早期の教育機能の回復が実現できるようにしていくことが必要としているほか、そのためにも自治体は防災に関する科学技術の総合的推進や、大学および関係各省庁の研究開発機関との連携を推進することとしている。
災害発生時に重要な情報手段の確保
続いて、地震災害が発生したときに重要になるのが、「情報の収集・伝達」に関わる応急措置を講ずることだ。まず発災情報の把握としては、気象庁等関係省庁との連絡を密にして災害に関する情報の収集を図るほか、テレビ、ラジオ、インターネット等の情報にも留意して広範な情報の把握に努めることが示されている。
その上で被害情報の収集・伝達としては、災害の規模や程度に応じて迅速に情報収集に関する体制をとり、各局課は事務分掌に基づき必要な情報を収集して文教施設企画・防災部参事官(施設防災担当)に報告することとしている。また、災害により通信が途絶した場合は、本省の職員等を現地に派遣することや都道府県に対し職員の派遣を依頼するなど、あらゆる手段での情報の収集・伝達に努めることを求めている。
一方、二次災害の防止や学校再開等のため、施設・設備の安全点検をできるだけ早急に行うなどの応急措置を示唆。そのほか、災害後の児童生徒等や教職員の心身の健康状態を把握することや、学校再開時等の清掃防疫や保健衛生管理にも触れている。