来年度の教員採用者向けにICT活用研修
9面記事研修を行う河田祥司指導主事
高松市総合教育センター
新学習指導要領の全面実施に対応するように、全国各地でICT環境の整備が進められているが、環境整備とその活用を図る教員研修は一体化して進める必要がある。そして、何も研修すべき対象は現職教員に限られるものではない――。
高松市総合教育センター(篠原隆則所長)では、12月18日に、来年度、教員になる予定の香川大学教育学部の学生に向けたICT活用研修を実施した。
高松市では高松市ICT教育推進計画に基づき、今年度から本格的に、市内小中学校の普通教室に電子黒板や実物投影機、指導者用デジタル教科書など「高松型5点セット」と称して整備を進めている。
こうした状況を受けて、高松市教育委員会教育委員の香川大学教育学部小方朋子教授が「教員になる予定の学生にも早めに市の取り組みを知ってもらい、学校現場の環境や現状を理解してもらうべき」と発案して、研修が実現した。
この日は18名が自主的に参加。新学習指導要領とICT活用や情報モラルについての講義だけでなく、電子黒板や実物投影機に実際に触れながら授業での活用イメージをつくった。
講座を担当した河田祥司指導主事は「ねらいは『イメージとやる気の醸成』です。どのような場面でどう効果的に活用できるかという実践イメージと、実際に触ってみながら自分にもできそうだと思える操作イメージを膨らませることが大切です。現場経験がほとんどない学生にとって、操作方法を学ぶだけでは活用できません」と話す。
その上で、「教師や子ども、学校の雰囲気が漂う実践事例を模擬授業形式で体感し、実際に操作してみることでイメージとやる気が醸成され、前向きな態度が生まれてきます。また、現場経験がほとんどないからこそ、変化を恐れることなく前向きに取り入れようとする気持ちも強く、効果的です」と付け加える。
参加した学生の配属先は高松市内とは限らないというが、「研修を受けてみて、わかりやすいだけでなく、自分の考えや意見を出しやすい環境になっていて、子どもが主体的に授業を受けられそうだなと思いました」といった声があがったといい、初めての取り組みとしては手応えを感じたという。
最近では採用前研修を行う自治体が増えているが、実際の環境を体感できる研修を取り入れることも有効だろう。
実際に学校に導入されている機器に触れることも大切だ