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英語コミュニケーションの基盤づくりに貢献

12面記事

企画特集

英語教育でカード作成ソフトを活用するメリット

 新たな形でスタートする小学校での英語教育では、従来の親しむことがメインだった外国語活動と異なり、英語によるコミュニケーション能力の基礎を養うことが目標に掲げられている。こうしたなか英語の指導教材として存在感を増しているのが、視覚に訴えることで楽しみながら英語のスキルを身につけられる英語カード作成ソフト『NEW Flash Card Maker』だ。そこで、英語授業研究学会に所属し、同ソフトの開発に協力した谷口友隆・総括教諭(相模原市立大野南中学校)に魅力を聞いた。


谷口友隆・総括教諭(相模原市立大野南中学校)

現場の声反映し活用の可能性拡げる

小・中が接続した英語教育に取り組む
 現在、谷口教諭は中学で英語を教えるほか、今年度から小学校へ週に一度出向き、高学年の外国語活動の授業を指導している。これは、小学校の英語必修・教科化を踏まえ、中学校との学習の接続を意識した試みとして連携校の間で実施しているもの。
 そのなかで、谷口教諭が取り組んでいるのが、小学校においても学習到達目標を「CAN DOリスト」の形で設定したことだ。「具体的には英語で自己紹介することをゴールに見据え、段階的な英語授業を組み立てています」と語るように、ここでは45分授業を「アルファベットに親しむ時間」「音に親しむ時間」「自己紹介に向けて積み重ねる時間」の3つに分け、繰り返しながら覚えることを大切にしている。加えて、授業では小学校の教師をなるべく巻き込んでいくことをねらいにしており、「1学期には8割くらいだった自分の役割を、3学期には2割くらいになるようにしたい」と意欲を見せた。
 一方、小学校の英語が教科になることで、中学校ではより「使える英語」を目指し、実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能を育成することが求められるようになっている。「たとえば、環境問題など社会的な話題について自分の意見として表現できるまでが望まれているなど、中学校で引き受ける責任も膨らんでいます。その意味からも、英語の基礎となる部分を小学校段階から前倒しで習得しておくことが大事になってくると思います」と小・中が接続する意義を述べた。
 こうした確かな英語力のスキルアップに谷口教諭が不可欠と考えているのが、語彙のインプットからコミュニケーションのやりとりにも応用できる英語カードの活用だ。「以前は自分で素材集などから加工して作っていたので、作業がとても煩雑でした。そんなとき、2007年に開発協力を依頼されたのが、『Flash Card Maker』でした」と振り返る。
 本ソフトは昨年、Windows10に対応した『NEW Flash Card Maker』として10年振りにリニューアルを実施。英語カードを簡単に作成できることで準備にかかる教師の負担を減らすとともに、学校でのさまざまな要望を踏まえて開発されているのが特徴だ。名詞・形容詞・動詞句・前置詞・副詞など867語の語彙のイラストを搭載し、スペルを1文字打てば、その文字で始まる絵の候補が出てくる仕組みで、文字のみ、絵のみ、文字&絵の3タイプで印刷できる。しかも、大判カードから児童用カルタまで幅広い印刷サイズが選択できるのに加え、印刷の仕上がりが確認できるプレビュー画面などユーザビリティにも優れている。

学校の要望を踏まえ、現場で必要な機能を
 その上で、谷口教諭は単なる素材集と大きく異なる理由を「授業で必要となる語彙のイラストを網羅しているため教員の使い勝手がよいことと、『書く』ことを意識した4線付で教育的な文字を表示できるところです」と強調する。これは開発に際し、現場の視点から検討を重ねて実現した部分だ。
 特に、小学校の英語が「教科」になれば、文字の「読み・書き」も指導する必要があることを踏まえ、aやgがきちんと表示できるフォントや4線付で提示できることにより、児童の正確な書き写しが可能になることは重要な点であると指摘。「文字指導は多くの教師が苦労する部分。最初にしっかりと文字認識させるためにも、4線付のアルファベットを投影して見せたり、プリントで練習したりして力をつけていきたい」と活用方法を挙げた。
 さらに、開発協力時に「ぜひ、欲しい機能」として要望したのが、たとえば「cup」「cap」「cop」といった、英語のつづりと発音の間にある決まりを学ぶフォニックスの教育手法を取り入れた英語カルタの作成機能だ。この英語カルタを活用することで、初めて見る単語でもあたりをつけて読めるようになったり、正しく発音できたりする力を育むことができるという。
 子どもたちには視覚的な情報が最も説得力がある。また、英語は使えるツールがたくさんあるほど指導しやすい教科であるため、教師も授業準備に時間をかける傾向がある。その中で『NEW Flash Card Maker』は、リーズナブルな価格で時間も手間も最小限に効果的な教材づくりができるのが最大の魅力であり、新学習指導要領の謳う「外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験すること」の基盤づくりを支援するソフトだ。

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