高校生に確かな学力をつける
16面記事アクティブ・ラーニング型授業や探究的学習の実践を通して
田口 哲男 著
SSH校の取り組みを反映
群馬県立桐生高校は平成19年度から5年間、文科省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けたのを皮切りに、24年度、29年度からと、それぞれ5年間継続して理数系人材の育成に取り組んできた。
第3期目を迎えた本年度は、学校設定科目「探究」によって理数科の生徒に加え、普通科の生徒の探究的な学習を充実している。総合的な学習の時間から「総合的な探究の時間」へと改善する、新学習指導要領を先取りした取り組みがまさに進行中である。
本書は28、29年度の2年間、校長として在職した著者が学校Webページにつづった「校長室」の内容を加筆修正し「なぜ教育改革が必要なのか」「アクティブ・ラーニング型授業のすすめ」「学びのスキル・方法を考える」「探究的な学習の展開」の全4章で構成して一冊にまとめた。
現況の改革の背景などをかみ砕きながら、平易に語る内容には、さまざまな自身の学びが反映しているが、時に新学習指導要領の今後について現場感覚での憂慮も示される。例えば、「学力の3要素」に対する教員の理解の不十分さや、例えば、「総合的な探究の時間」についても「名称を変えただけで、今までと同じようにやればよいと認識されてしまうと大変なことになる」などの指摘だ。
教員に対し意識改革を求めるのは、学び続けた校長だからこその助言である。
(1944円 学事出版)
(吹)