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俳句の不思議、楽しさ、面白さ そのレトリック

16面記事

書評

武馬 久仁裕 著
技法で読み解く古今の名句

 副題にある「レトリック」を辞書で引くと、「修辞法、文芸表現の効果を高めるための技法」とある。わずか17音で表される日本独自の文芸ゆえに、これらの技法が凝縮されていることは理解できる。併せて、味わう側の高い鑑賞能力が求められるのも当然のことであろう。でも現実は…。
 俳句を楽しみたい、でも、どうやって? 変な解釈をして笑われるのも嫌だ。そんなふうに考える、評者をはじめとする多くの同志に朗報である。本書という強い味方が現れた!
 本書の出版意図を著者は前書きで明言している。「俳句のレトリックから俳句を読むと、俳句の不思議さ、面白さがよく見えてきます」と。まさにその通り、看板に偽りなしだ。本書では29個の視点を項立てし、古今の名句を解釈しているが、読みながらうなずいている自分に気付いた。
 分かりやすいものでいえば、例えば、漢字、ひらがな、カタカナ等の表現だ。一般的に漢字を使うところを、ある句ではあえてひらがなを使っている。なぜか。本書で首肯できる。専門的なものでいえば、擬人法、倒置、荘厳等がある。なぜこの句はここで倒置されているのか、この句を荘厳というレトリックで解釈するとこうなるのか等が理解できる。
 俳句の辛口批評で人気の某番組も見る楽しみが増えた。
(1836円 黎明書房)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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