100キロ先のゴールまで登山道を走る「FTR100」（11月17～18日、日本教育新聞社など協賛）。昼過ぎの山中、ジャージ姿の子どもたちの集団とすれ違う。周りの選手からは、「取材してきたら」と促される。本格的な仕事になってきた。
　引率していた教員に聞くと、埼玉県内の中学校の美術部員が、作品の題材を求めて散策しているのだという。学校名も教えてくれた。
　こちらは100キロの完走を目指して息を上げてきたけれど、快晴の空に輝くススキなど、自然の美しさも楽しんできた。生徒たちもきっと、素晴らしい風景に出会ったことだろう。
　夕暮れ。周りに選手がいるから心細くはないが、足が重くなってくる。初夏に100キロを走ったときのように、余裕をもってゆっくり歩みを進めたはずなのに。真っ暗になり、再びヘッドランプを点灯してからは、自分の意志とは無関係に、もう速度を上げられなくなっていた。
　まだゴールまでは60キロもあることに愕然とする。出発してから13時間が過ぎた。残された時間は20時間だ。