主体的な学びを促すインクルーシブ型学級集団づくり
12面記事教師が変わり子どもが変わる15のコツ
河村 茂雄 著
多様な子を受容する指導へ
子どもたちの学校生活の満足度を調べる心理検査「Q―U」の開発者として知られる著者が、学校現場で課題となっている「インクルーシブ教育の実現に向けた特別支援教育の推進」と「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」を実現するため、学級集団づくりと指導行動に焦点を当てながら、その道筋を提示した。
第1部では「学級経営の新しいパラダイム」への転換を説き、第2部で、そのために必要な「指導を変える15のコツ」を掲載する。「これから求められる『授業づくり』と『特別支援教育』を推進する学級集団づくりは表裏一体であり、真の成果をあげるための基盤には、『多様性を包含する学級集団』が求められるのです」というのが、著者の主張である。
従来の統制型指導は、一見、学習規律などが守られた学級集団を形成するが、それは同調圧力の強い集団として、同じ行動を取れない者を排除し、多様性の受け入れとは対極にある。例えば、特別な支援が必要な児童がいる教室で、統制型の指導で向き合うと、こうした児童を受容できない集団を生み出す可能性があるということだ。
教室内には多様な児童が存在する。教室の暗黙のルールを言葉にして理解させることや、個別の支援にとどめず、全体対応と個別対応を同時に取り組む方法など、多様な児童を抱える学級づくりのテキストでもある。
(1944円 図書文化社)
(吹)