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カリキュラム・マネジメントと授業の質保証

12面記事

書評

各国の事例の比較から
原田 信之 編著
評価手段や教育理念に着目

 本書の副題は、「各国の事例の比較から」である。欧米・アジア8カ国の動向から、「教育の質の捉え方」と「質保証の仕組」を紹介。国によって、それは多様な展開となっている。
 編著者(名古屋市立大学大学院教授・教育学)を中心に、各国の教育事情に詳しい研究者8人が執筆。序章は日本。カリキュラム・マネジメントの現状と課題を論じる。第1章がアメリカ、教室を基盤とする評価としての形成的評価に詳しい。第2章はイギリス。外部評価による質の保証、ナショナル・テストなどが紹介される。続く第3章はドイツ。クオリティ開発としての自校カリキュラム、ローカルテストが学校の現状改善意欲をかき立てる。第4章がフランス、教師の協働性を困難にしている理由を三つ述べている。
 第5章はフィンランド。授業改善(学力の陰り)と、学校単位での組織的取り組みの充実等、教育先進国かと思われがちな国も、幾つもの課題を内包する。第6章が香港。児童・生徒の”学習を学ぶ”教育理念が重要視され、カリキュラム改革と授業の質の改善を連動させている。そして、第7章がシンガポール。“実力主義”の教育制度と、能力志向を目指す教育改革。特色ある学校づくりの推進と教員の資質向上。国情や歴史、制度の違いに目を向けて読むと教師にとって貴重な一冊。
(2916円 北大路書房)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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