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「大学入試改革」授業案 Why?問い続けディベート力つける

10面記事

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英語
山本 崇雄 東京都立武蔵高校指導教諭

 2021年1月から導入される「大学入学共通テスト」に通用する力をどのように生徒に付けさせるか。今回から毎週、各教科のスペシャリストに授業を提案してもらいます。(1面参照)

リアルな社会で使うために

 今年2月に実施された試行調査(プレテスト)の問題を見ると、筆記(読解)試験、聞き取り(リスニング)試験とも具体的な場面を設定して「英語を使う力」を測定することを重視していた。
 今まで出題されていた発音・アクセント問題や文法や語順を問うような、いわゆる暗記重視の問題がなくなり、よりリアルな社会と自然な場面設定の中で使われることを意識した出題になっている。
 これまで、高2くらいまで4技能を育てる実践的な授業をしていても、3年になると、たとえ生徒が滑らかにディベートなどをできるようになっていても、発音・アクセントをペーパーで問う問題に慣れさせなければならなかった。これが、最後まで4技能を育てる実践的な英語の授業を行うことができるようになるのである。
 例えば、筆記の第1問ではウェブサイトやポスター、第3問では旅行記のブログ、新聞のコラムといった実際の社会で使われている英語を読むことを想定した問題だ。学校で使われる英語を読むことを想定した問題もある。第4問ではリポート、第5問Aでは学校新聞を読んで情報を整理する力を見る出題である。これらは、授業中にインターネットなどで実際に使われている英語を読む活動を経験したり、授業でリポートや新聞作りを行い、生徒同士で読み合う活動をしたりしている生徒にとっては難しくないであろう。
 さらに、大きな特徴は、英語で話したり、書いたりして発信することを意識した出題も見られることである。今回のプレテストでは、実際にスピーキングとライティングの力を測る問題は出題されなかったが、発信する前段階の理解を見る問題が見られる。
 例えば、第2問Bでは、ディベートの準備をしている場面を設定し、賛成、反対の意見を整理して理解する力が必要になる。Bではスパイスに関するプレゼンテーションの準備を行う設定だ。第6問ではサマーキャンプの内容や感想をまとめる場面を設定し、登場人物の特徴等を含む物語の概要を把握する力を問う。この問題の対策としては、授業で実際にディベートやディスカッションを行ったり、英語でプレゼンテーションをさせたり、活動のリポートを英語で書かせるなど、英語を話したり、書いたりして発信する経験をたくさんさせてあげることが有効だ。
 今後、実践的な場面を想定した問題は、国公立の個別試験でも増えていくことが考えられる。教室の英語を、「入試のため」でなく「リアルな社会で使うため」と位置付け、授業を行っていくことが入試対策にもつながっていくと考える。

表現を少しずつ導入

 ここでは、筆記の第2問Bを取り上げ、授業にディベートを取り入れる実践を紹介したい。いきなりディベートなど「議論しろ」といってもなかなかうまくいかない。まず長い時間をかけ継続的に指導していくポイントを紹介する。

(1)Why?を問い続ける
 日本の教室ではディベートなど議論する場面が少ないといわれている。まず、生徒たちには、常に「Why?」(なぜ)を問い続け、理由を考えさせる習慣を身に付けさせたい。中学生であれば、
A=Do you like baseball?
B=Yes,I do.
A=Why do you like baseball?
B=Because it’s exciting.
A=Why is baseball exciting?
B=….

 といった感じだ。うまく答えられない経験をすることも大事である。「答えられるようになりたい」とポジティブに捉えていく雰囲気づくりも心掛けたい。
 高校では、TOEFLなどのライティングトピックなどを使い、自分の意見を考えさせ、なぜそう思うのかを問い続けることが大切である。
 例えば、Do you agree or disagree with the following statement?Television has destroyed communication among friends and family.といった賛成か反対を表明する問いが取り組みやすい。賛成か反対かを述べさせ、Why do you agree・disagree with this statement?と理由を聞いていく。「Why?」を問い続けることにより、自分の意見に理由を付けて考える習慣が身に付いていくのである。

(2)ディベートで使われる表現を少しずつ導入する
<意見を言う>
 I think・guess・believe…など
 In my opinion,…

<賛成・反対を言う>
 I agree with…・I’m on…・I support…
 I don’t agree with…・I’m against…
 I oppose…

<引用する>
 He(She) said,“…”but I think…
 According to Kyoiku Shimbun,…

<結論を言う>
 In conclusion,…
 I strongly support・oppose this idea.

 こういった表現を導入の会話や教科書の内容などに絡めながら生徒とやりとりすることで、生徒たちは上記のような議論でよく使われる表現に自然に慣れ親しんでいくだろう。

1時間目+2時間目以降

第2問B

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