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資格・検定活用し英語4技能を評価

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大学入試改革 (4)

 「大学入学共通テスト(仮称)」の創設によって、最も大きく変わる可能性があるのは、英語試験の取り扱いである。文科省が公表した「高大接続改革の進捗状況について」(5月16日)での共通テストの「実施方針」案には、英語の4技能評価について、英語の資格・検定試験の活用を前提に、平成32年度以降、共通テストでは英語の試験を実施しないことも含め、二つの案が提示されている。これに対して、関係団体の一つ、国立大学協会は「少なくとも共通テストにおける英語試験の存続については、平成33年度入学者選抜に導入される認定試験の実施・活用状況等を検証の上、その後しかるべき時期にあらためて判断すべき」(6月14日)との見解を出している。

共通テストは「実施せず」「35年度まで実施」の2案

 「共通テスト」での英語試験の取り扱いは、どう変わるのか。
 従来、大学入試センターが大学に対して行っている成績提供業務の一環として、認定試験の結果を一元的に集約、提供する案が提示されている。
 受検者は認定試験の出願時に、自身の成績をセンターに送付することを認定試験実施団体に依頼。実施団体側はセンターに成績を送付し、センターは、大学の求めに応じて「共通テス
ト」の成績と共に認定試験成績を提供するという流れ。
 ただ、その実施時期をめぐっては、二つのパターンを示した=図参照。
 A案として示したのが、平成32年度、「共通テスト」では英語試験を実施しない案。「速やかに認定試験を活用して4技能を評価するため、また、センターが従来実施してきた英語の試験とリーディング・リスニングについて重複が生じるため」と、その理由を挙げる。
 また、B案は、35年度までは、「共通テスト」の英語試験を継続して実施する案。その理由に「制度の大幅な変更による受検者・高校・大学への影響を配慮する」を挙げた。
 「共通テスト」での英語試験の廃止が、32年度(対象は現在の中3)からになるか、35年度(同・小6)からになるかの違いはあるが、4技能を総合的に評価する認定試験の活用の流れは変わらない。

大学入試 実施時期

「国の指標形式の目標」設定
統合的言語活動を一層重視
今後の英語教育の方向性

 グローバル化社会に対応する人材の育成は、喫緊の課題として取り上げられてきた。
 その方策の一つ、外部の英語検定試験などの活用に関して、平成25年12月13日に文科省が策定した「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」には「高校卒業段階で英検2級〜準1級、TOEFL iBT57点程度以上等」とし「大学入試においても4技能を測定可能な英検、TOEFL等の資格・検定試験等の活用の普及・拡大」がうたわれており、今回の実施方針(案)などは既定路線の延長線上にある。
 現行の高校学習指導要領でも、英語の授業は英語を使うことを基本としており、「書く」「話す」「聞く」「読む」の4技能を総合的に育成することを目指している。
 「実施方針」(案)の検討経緯を見れば「次期学習指導要領では、小・中・高等学校で一貫した目標を実現するため、外国語の能力を総合的に評価するCEFR等を参考に、段階的な『国の指標形式の目標』を設定するとともに、統合的な言語活動を一層重視することとしている」と、今後の英語教育の方向性を述べている。
 また、高校段階での4技能の適切な評価は「グローバル人材育成の取組など、大学教育改革にも寄与する」と意義付けた。
 その一方で、センター試験はこれまで「コミュニケーション能力を重視した出題範囲の設定」(平成9年度〜)や「リスニングの導入」(18年度〜)など「大枠では『読む』『聞く』の能力を中心に選択式で問うもの」へと、改善を図ってきている。
 だが、50万人規模の受検者がいるセンター試験で「話す」「書く」を「同日に一斉に試験を実施することは困難」とし、高校教育や大学教育、大学入試でも英語4技能を評価する民間の資格・検定試験が活用されてきている現状も踏まえて、あらためて、その有効性を指摘している。

高3の4〜12月、2回までの試験結果
CEFRの段階別に成績表示

 「共通テスト」での具体的な実施方法は、民間などの資格・検定試験のうち「試験内容・実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件を満たしているもの」について、大学入試センターが認定。認定を受けた資格・検定試験(以下、認定試験)の試験結果、CEFR(外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ共通参照枠)の段階別成績表示を要請のあった大学に提供する。
 これにより「学習指導要領との整合性、実施場所の確保、セキュリティや信頼性等を担保するとともに、認定試験の実施団体に対し、共通テスト受検者の認定試験受検料の負担軽減方策や障害のある受検者のための環境整備策を講じることなどを促す」としている。
 その際、国は「CEFRの段階別成績表示による対照表を提示する」とした。
 既に大学入試での英語4技能の評価、民間資格・検定試験の活用に関する論議は先行してきた。
 4技能の民間資格・検定試験の大学入試の活用などの検討を求めた「英語教育の在り方に関する有識者会議」報告(26年9月)などを受け、26年11月には、民間の資格・検定試験を実施する関係者などを含めた「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」が発足。入学者選抜における妥当な資格・検定試験の活用促進や、生徒・学生が受験しやすくするための配慮を行うなどの「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針」を策定。併せて、各試験団体のデータによるCEFRとの対照表なども参考資料として作成している=表参照。

各試験団体のデータによるCEFRとの対照表

経済的格差の影響など課題
 今回の「共通テスト」での活用は大学入試センターが「高校3年の4月〜12月の間の2回までの試験結果を各大学に送付する」方法を想定する。
 ただし、「認定試験では十分に対応できない受検者(例えば、障害のある受検者の一部など)への対応」は今後の検討課題。
 同時に、英語以外の外国語の取り扱いについても「引き続き検討する」としている。
 高3に進級してから、12月までに2回の成績としているが、英語4技能の能力をどう身に付けさせるかといった指導上の課題だけでなく、経済格差による受検回数の違いなども既に問題点として指摘されており、乗り越えるべき課題は少なくない。

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