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外国の大学入学者選抜 共通試験の位置付け多様

18面記事

高校

 高校教育の見直しから大学教育の質的転換へと、一連の教育改革を目指す中に位置付く「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)。大学入試センター試験に替えて、新たなテストの在り方を模索するが、各国の大学入学者選抜に関わる共通試験の現状はどうなっているのだろうか。これまでの国などの議論や提出された資料などから整理してみると―。

米英 個々の大学、合否に利用
独仏 高卒・入学資格を兼ねる

 大別すると、例えば、米国(SAT、ACT)、英国(GCE―Aレベル)と、ドイツ(アビトゥーア)、フランス(バカロレア)の方法がある。
 米国、英国の場合、共通試験を活用しながら、大学それぞれの工夫により選抜、入学させる仕組みを取る。特に米国は、年複数回実施する。
 ドイツ、フランスの場合、共通試験は、高校卒業資格と大学入学資格を兼ねる性格を持つ。

米「SAT」「ACT」
難関大受験用の科目設定も

 米国の入学者の決定方法は、多様だ。短期大学などでは、高校卒業、あるいはそれと同等の資格を持つ者は全て入学可能になる。一方、多くの州立大学などでは、入学に際して、主として高校の成績とSAT、ACTの結果に基づいて一定の基準を満たす必要がある。これらの他に、高校の成績とSAT、ACTの得点に加えて、大学側が課す小論文、面接などによって総合的に判断する有名私立大学などのタイプがある。
 SAT、ACTは共通試験として位置付く。カレッジ・ボード(大学協会)がETS(非営利テスト開発機関)に委託するSATと、アメリカ大学テスト会社(ACT.Inc)が運営するACTは、個別の大学が選抜に利用する点では共通したものだ。共に受験年齢に制限はない。年間実施回数は少し異なるが、複数回実施できるのは、資質的な能力を測る側面があるためという。
 SATの年間実施回数は10・11・12・1・3・5・6月の7回。設定された科目などは、言語能力、数学能力、文章表現やエッセーを含むライティングの3領域。成績表示は素点ではなく、500点が平均点になるよう調整した上で、各領域200点から800点の間で10点刻みの61段階表示。エッセーは2点から12点の間で11段階を取る。3領域の合計は2400点満点で、600点から2400点の間で181段階に表示する。
 英語、歴史・社会学、数学、自然科学、リーディング・リスニングなど外国語の5分野で20科目を設定するSAT subject testの方は、難関大学を受験する場合に2科目程度の受験が必要な場合がある。成績表示の方法は、SATと同じく各科目61段階評価になる。
 解答方法はマークシート方式に加え、エッセーの記述式。
 ACTの年間実施回数は9・10・12・2・4・6月の6回。英語、数学、科学、外国語の4領域。オプションとしてエッセーがある。成績表示は、素点ではなく、段階表示を取るが、こちらは各科目1点から36点の36段階。エッセーの方は、2点から12点の11段階。4領域の合計は、1点から36点の36段階で表示。SATとの比較では平均1500点が、ACTの21点相当、という。
 解答方式はマークシート。オプションのエッセーは記述式だ。

各国の大学入学選抜に関する共通試験
各国の大学入学選抜に関する共通試験

英「GCE―Aレベル」
科目数多く100以上

 英国のGCE―Aレベルは5月から6月に1回、後期中等教育修了時の18歳で受験する。
 設定科目数は多く、実施団体によって異なるが100科目以上に及ぶという。各大学が指定する3科目程度を通常、受験する。成績は各科目、AスターからA〜E、不合格までの7段階で表示する。義務教育修了時の16歳の時にも、GCSEを受験して、数科目程度でC以上などの成績も考慮される。こうした成績を使い、内申書や面接などを加味して大学は合否を判定していく。
 運営主体は、政府から独立した試験実施機関。解答は記述式を取っている。
 受験の基本は18歳だが、年齢制限はないという。

独「アビトゥーア」
記述式の他にも口述試験

 ドイツでは、大学入学の資格としてアビトゥーア試験の合格が必要になる。試験は2月から4月に記述式を、3月から6月に口述式の試験を受験する。設定科目は言語・文学・芸術、社会科学、数学・自然科学・技術の3領域にわたる。ただ、科目の設定の仕方は州によって異なる。実施主体は各州の教育担当省。
 例えば、州によって、論述試験4科目、口述試験を1科目受験。各科目15点満点で評価。科目試験の点数を300点満点、大学進学者が修学する中等教育機関であるギムナジウム最後の2年間の平常点を600点満点、合計900点満点に換算して、300点以上でアビトゥーア合格となる。不合格の場合には、留年して次年度に受験しなければならない。
 アビトゥーア取得者は、原則、希望する大学、専攻に入学可能だ。

仏「バカロレア」
希望大学に入れる国家資格

 フランスのバカロレアも取得者は、原則、希望する大学に入学できる。中等教育修了と高等教育機関入学資格が付与される国家資格。実施主体は国民教育省である。
 実施は6月の1回。こちらも不合格になった場合は、基本は留年し、次年度受験する仕組みという。
 18歳時が受験の基本だが、年齢制限はない。
 設定科目はバカロレア、職業バカロレアにより異なるが、高校(リセ)段階で学習した科目を網羅。
 バカロレアを受験する場合、必修科目10科目程度と、最大2科目の自由選択科目を受験し、各科目20点満点、平均10点以上で合格となる。その際、自由選択科目は10点以上の場合のみ考慮するという。
 職業バカロレアの場合は、必修7科目と自由選択1科目が必要。

韓「大学修学能力試験」
米英同様、個別で活用

 韓国で実施しているのは「大学修学能力試験」。米国や英国の共通試験と同様、個別の大学が選抜に利用する。
 11月に1回実施。解答方式はマークシート方式に加え、数学の一部に記述式を入れている。実施主体は韓国教育課程評価院。
 韓国語、数理、社会探求、科学探求、職業探求など7領域の47科目の設定科目数がある。このうちから、各大学に必要な科目を受験する。成績の表示は、各科目で標準化得点(偏差値)、百分位(パーセンタイル)、9等級の3種類の指標を使い、表す。

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