令和7年通常国会質疑から【第1回】
NEWS
学習指導要領の内容縮減
国会では、法案審議の他に、議員の提示した課題に対して政府が見解を明らかにする質疑が行われている。今年1月に開会した通常国会のうち、教育関係の一般質疑の模様を紹介していく。3月12日の衆議院文部科学委員会では、学習指導要領の内容縮減をめぐる質疑があった。
亀井亜希子議員(立憲) 私が今回文部科学委員会に来た理由というのは二つありまして、一つは、教職員の現場のいわゆる労働環境が非常に過酷で問題があると指摘されていること。もう一つは、私の地元、島根県の丸山知事が、義務教育が崩壊しているので何とかしろ、学習指導要領を改正してほしいと強く要望しているからであります。
それで今回、参考資料、配付資料をお配りしましたのは、初めの二枚は県の要望書から拾ってまいりました。ただ子供の社会生活に必要な基礎的な学力が下がっていると言ってもちょっと伝わりにくいということで、県の要望書に具体的に例がついておりますので、ちょっと時間を使いますけれども読みます。
これは二問とも小学校六年生に対する問題、算数です。最初は、これは令和五年度に実施されたもので、椅子四脚の重さを量ると七キログラムでした、この椅子四十八脚の重さは何キログラムですか。この質問、正答率が全国平均で五五・五%、島根県は四八・七%、二人に一人が答えられない。
今度は、令和六年度実施の学力調査ですね、六年生用。ゆうまさんは折り紙を七十二枚持っています、ゆうまさんが持っている折り紙はこはるさんが持っている折り紙より二十八枚少ないです、こはるさんが持っている折り紙の枚数を求める式を下のアからエまでの中から一つ選んでその記号を書きましょう。この正答率、全国平均が六二・一%、島根県は六〇・〇%、これはかなり深刻な状況じゃないでしょうか。義務教育が崩壊していると我が県の知事が騒ぐこと、理由、私も理解できます。
その原因として指摘されていることが、今まで学習指導要領が改訂されるたびに新たに、新たな科目や身につけさせたい力などが盛り込まれて、それに対して学習時間は変わっていないので、ゆとり教育の反動でこれはふとり教育とも言われているらしいんですけれども、余りにも内容を詰め込み過ぎじゃないだろうかと言われております。
今日配付した資料の二枚目には、一例として、英語の単語、語彙の、英語教科書で扱う語数がどのように増えてきたかということが書かれております。これを見ましても、私たちが育った頃はそもそも小学校に英語はなかったわけですけれども、それが小学校で導入され、どんどん全体として学習する語彙が増えている。
先ほどの特に二番目の問題がみんな解けないというのは、これは計算ができないというより、もしかしたら問題の意味が分からないのかなという気もしまして、だとしたら国語力だと思うんですけれども、この現状について、大臣はどのように受け止められますか。また、学習指導要領、内容を縮減する必要があるのではないでしょうか。お伺いいたします。
文科相 いわゆる解答率が低いという問題に関しては、実は私はエデュケーションの方の授業も学生時代に取っておりましたが、やはり、解答率が低いときは教え方の問題なのか質問の問題なのかということをちゃんと精査すべきということは実は聞いているところでございます。
ただ、先ほど委員がおっしゃったように、問題の意味が分からないのではないかという国語力、実はかなり大きな問題でございまして、今、CBT、コンピューターベースドの中では、その子は算数が分からないのか国語が分からないのかということが分かるツールも実はございます。
ですから、国語力をしっかりしていかないと、いわゆる問題の意味が分からなければ答えられないということは実は大変大きな問題でございまして、そこも含めて、指導要領の見直しも含めた形で、総合的に私どもは公教育の対策をしていかなければいけないんだと思っています。
特に、学習指導要領に関しましては、総授業時間数でございますが、まずは現在以上に増やさない、これを前提としながら、また、学習指導要領の解説、教科書、入試の影響、先生方の指導書も踏まえた上で、授業づくりの実態を全体として捉えていかなければいけない。
学校の先生方は真面目ですから、何かこう、教えなきゃいけないと思うと一生懸命教えるんですが、そのときは、子供たちがついていけようがどうだろうが、とにかく自分の教えなきゃいけないことを教えているということもあって、過度な負担とか負担感が生じない在り方の検討をお願いしているところでございまして。
これからの、今後の教育課程の在り方につきましては、御指摘の点も含めまして、子供たちの学習状況、また、これからの社会を生きていく子供たちに求められる資質と能力の在り方は一体何なんだろうかということも含めた総合的な考慮をした上で、また、全体としての教育の質の向上につながるよう、今、中教審での議論を通じて、丁寧な検討を行ってまいりたいと思いますので、亀井委員の御意見などもしっかり聞かせていただきながら、委員は特に英語はお得意のフリーランスの通訳の方でいらっしゃるので、先生が教えると多分もっと楽しい授業になるんじゃないかと思いますが、いずれにしても、しっかりと御意見を聞かせていただきながら検討してまいりますので、よろしくお願いします。