給特法改正案への反対署名 研究者ら4万7800筆を提出
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改正案の課題を指摘する本田教授(左端)=21日午前、文科省で
国会で審議中の教員給与特別措置法(給特法)の改正案に反対する研究者らが21日、教員に残業代を支給する制度に改めるよう求める署名4万7846筆を文科省に提出した。同省で開いた記者会見では改正案について、長時間労働の改善にはつながらず、むしろ悪化する恐れがあると指摘。公立学校教員への労働基準法の適用と、厳格な勤務時間管理の必要性を訴えた。
署名活動は東京大学の本田由紀教授らが3月7日に始め、
・教員への残業代支給
・主務教諭の法制化の見送り
・基礎定数の改善
―を求めている。
本田教授は会見で、改正案に盛り込まれた教職調整額の増額について、一層の長時間労働を是認する結果になりかねないと懸念を示し、労働環境の是正の議論が給与改善の議論にすり替えられていると批判した。
教員の労働問題に詳しい嶋﨑量(ちから)弁護士は、給特法の最大の問題点は教員の自主的な活動が労働として扱われないことだと主張。改正案が成立すれば、在校等時間を厳格に管理する「時短ハラスメント」が横行しかねないとして、残業代を支給する制度への転換を訴えた。
岐阜県立高校の西村祐二さんは「このまま法案が成立してしまうとしたら学校現場の未来は見えない」と率直な感想を述べた。その上で、自発的ではなく、やらざるを得ない多くの業務をこなしている教員が多い実態を踏まえて、国会で審議するよう求めた。
日本女子大学の清水睦美教授は、教育実習に行った学生が将来働き続けられるか不安を抱えている現状を説明。「改正案がさらなる教員離れへつながるのでは」と、教員志望者への影響を懸念した。
署名は今後も継続して集め、5月頃に再度提出するという。