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教育長月別歳時記

16面記事

書評

白鳥 秀幸 著
困難校立て直し 教訓に重み

 平成28~31年に、学事出版発行の月刊誌「プリンシパル」での連載が、ペーパーバック版として復活した。千葉県の公立高校校長、市原市教育長などを歴任した著者が、同市各種イベントでのあいさつ、市議会などでの答弁、教育長としての校長へのアドバイス、世の校長たちに伝えたいことを今月の一言として執筆してきたものだ。現在、著者は私立横芝敬愛高校(千葉県)の校長を務める。
 大半を占める第一部「教育長月別歳時記」と第二部「教育長への階段」で構成。読者は必要に応じてどこからでも読めるが、できれば、第二部に収める「姉崎高校改革のホップ・ステップ・ジャンプ」から読んでもらいたい。
 当時、県内でも指折りの教育困難校に校長として赴任した著者の改革実践をまとめた論稿であり、第4回学事出版教育文化賞「最優秀賞」に選ばれた。教師である読者であれば、この改革の実現に管理職、教職員がいかに多くの心血を注いだかが実感できるはずだ。
 多様化した高校教育において「学び直し」を取り入れることになった原点の一つでもある。受賞を契機に改革記は「あねさきの風」上・下巻で学事出版から刊行した。昨年、俳優座が同じタイトルで舞台化し、再び脚光を浴び、映画化が進行しているという。
 第一部の各月で示す「向かい風の強風も、いつか追い風に変わる」など、何げない教訓が、その背景を知ることで重みを持つ。
(1980円 一莖書房(Amazonペーパーバック))
(矢)

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