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一刀両断 実践者の視点から【第654回】

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論説・コラム

制度の形骸化

 栃木県壬生町の小学校で、休日出勤の記録が消去されていたことが問題となっている。記録の消去は違法であるにもかかわらず、それを黙認し、改善もせずに放置している政治や行政にこそ、より大きな問題があるのではないだろうか。
 働き方改革は進められているものの、実際には大きな変化は見られない。なぜなら、仕事を丁寧に行わなければ、子ども一人ひとりの成長を支えることができないからである。文部科学省の職員には、ぜひ数年間、学校現場で実際に働いてその実情を体感してほしい。もちろん、大臣や政務官も現場の厳しさを知れば、理想論を語ることは難しくなるだろう。
 かつて、勤務評定に現場の実情を正直に記載したところ、教育委員会から「組合との関係もあるので、書き直してほしい」と指導が入った。このように、形骸化した制度が常態化している以上、勤務評定には本来の意味がなくなっている。
 こうした事態が続き、多くの人が理解しているにもかかわらず、改善されないのは学校現場の問題ではなく、行政や政治によるものだ。そして、それを指摘することができない状況が続いているのは、教員が単なる従業員として扱われ、意見を述べても届かない立場に置かれているからである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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