一刀両断 実践者の視点から【第653回】
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懲戒処分と退職金
依願退職か懲戒免職かによって、処遇に大きな違いが生じることを理解しているだろうか。すなわち、一度退職を承認してしまうと、後から処分を科すことができなくなるという問題がある。
例えば、女子生徒にSNSで性的な内容を送った教員と、勤務先の校長が停職処分を受け、その後、2人とも依願退職したという報道がある。
このように、依願退職が認められると退職金が支払われることになる。本来であれば受理しなければよいのだが、実際にどのような判断がなされたのかは不明である。
明らかに犯罪行為であり、社会通念上許されることではないにもかかわらず、退職が認められるとその責任が問われないという不可解な法制度が残っているとすれば、今回のケースも「免職になる前に辞めればよい」という前例になりかねない。
私は現役時代に、このような理不尽な処分がまかり通っているのを目の当たりにしてきた。人として生きる以上、罪は罪として曖昧にしてはならないはずである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)