一刀両断 実践者の視点から【第649回】
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危険回避の予算
プールでの小学校4年生死亡事故に関する報道で、当時の高知市教育長や指導にあたった教頭ら7人が業務上過失致死容疑で書類送検されたという記事には、違和感を覚える。こうした事故の危険予知には曖昧な部分が多く、学校の先生方のような専門外の人々にはなじみにくい。彼らはそのような訓練を受けていないからである。
確かに、子を失った親が憤りを示すのは理解できる。しかし、このような事故が完全になくなるとは考えにくい。
防止策としては、まず水位を下げることや、監視・指導体制の強化のために人員を増やすことが求められる。しかし、それには財政的な措置が不可欠であり、適切な予算が確保されなければ、危険を認識しつつも従来の方法で指導を続けざるを得ない状況になりかねない。
現在、下水管や水道管の破裂が各地で相次いでいる。これは、設置時期を逆算すれば想定内の現象とも言える。
同様に、水泳指導の必要性についても議論を深めるべきであり、人的被害を防ぐためには、施設や設備の維持・補修計画を策定することが不可欠だ。今回の件からは、本質的な改善につなげるため、より広い範囲に目を向けるべきではないかと考える。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)