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特別支援がガラッと変わる「見取りのモノサシ」 応用行動分析学はじめの一歩

16面記事

書評

渡辺 道治 著
「不適応行動」への対応策は

 子どもの「不適応行動」と呼ばれるもろもろのケース対応に苦慮している教師や保護者は少なくない。これまでの経験を基にして子どもの「不適切行動」を理解し、対応しようとするからであろうか。著者は、この「不適応行動」を「行動の一つ」として捉え、行動心理学での「行動への理解」を深めることで効果的な対応策まで導いてくれている。
 例えば、3歳1カ月の男児が母親をたたく。母親が静かに真剣に「痛いよ。ママは悲しいよ」と言うと「ごめんなさい」と本人は言う。しかし、その後、またたたく。このようなときにどうしたらよいか。また、5歳の女児が、デパートのおもちゃ売り場を通ると「おもちゃ買って!」と泣き叫ぶ。そのようなときにどのように対応することがよいのか。
 このような行動を、行動心理学の獲得(要求)、注目(注意喚起)、感覚(自己刺激)、逃避(回避)という四つの機能に分類することによって、この状況にふさわしい対応策を著者は具体的に示している。さらに、目に付いた物をすぐ投げる、立ち歩く、気に入らないことがあると友達に手を出す、そのような行動を取る男児が転校してきた際の対応を、著者自身の経験から詳細に記している。
 経験の少ない教員や子育てに悩む保護者だけでなく、誰かの行動に頭を悩ませている多くの方に読んでもらいたい一冊である。
(2200円 学芸みらい社)
(小山 勉・東京未来大学特任教授)

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