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高校国語<批判的思考力>を育む実践アイデア 主張を吟味しながら読み、書き、話す

16面記事

書評

島田 康行 編著
新聞記事、ICTの活用も

 高校『国語』で「論理的に書いたり批判的に読んだりする資質・能力の育成」を目指す選択科目・論理国語、他の科目でも批判的な読みを通して考えを深めることが求められていることから、「批判的に考える力」をテーマに、多様な学校での授業を集め、「実践のヒント集」として刊行した。
 「批判的思考」の概要や学習指導要領上の変遷、これまでの実践と研究などを、総論「批判的に考える力を育てる授業を構想するために」で解説し、共通必履修科目「現代の国語」(4事例)と「言語文化」(1事例)、選択科目「論理国語」(3事例)と「文学国語」「国語表現」各1事例の計10事例を収めた。
 例えば「AIの有効性」をテーマに、主張の形成から意見交換、再主張などを経るパネルディスカッションや、複数の新聞記事を使って批評意識を喚起する「現代の国語」実践、統計資料から仮説を立て検証してミニレポート作りにつなげる「論理国語」の取り組みの他、生徒の文章をリアルタイムで把握可能なICTの有効活用、各実践からワークシートの工夫を随所に見ることもできる。
 「現代国語」の「C 読むこと」の解説には「批判的に読むとは、文章に書かれていることをそのまま受け入れるのではなく、文章を対象化して、吟味したり検討したりしながら読む」とある。膨大な情報の波にさらされる生徒たちにとって必須の能力ではないだろうか。
(2420円 大修館書店)
(矢)

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