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教師のリアクション力 「指導と評価の一体化」とは何か

12面記事

書評

北 俊夫 著
授業改善につなぐ実例示す

 評者の世代では、評価=評定であり、定期考査の点数が成績に直結していた。文科省は平成31年3月29日付通知で学習評価の改善の基本的な方向性を打ち出した。その中で評価結果を教師の授業改善と児童・生徒の学習改善につながるものとしている。
 以前から「指導と評価の一体化」がいわれてはいるが、現場では進んでいるだろうか? 本書はその問題意識から「成績をつけるための評価」から「指導に生きるための評価」への評価観の転換を訴えている。指導と評価の一体化とはどういうことか、指導に生きる評価をどう進めるのか―という点から授業改善につながる新しい学習評価の考え方と方法を記している。
 第Ⅰ章では、これまでの学習評価の課題や改善のポイント、第Ⅱ章では指導と評価の一体化とは何か、第Ⅲ章ではペーパーテストのより良い問題作成、第Ⅳ章では学習評価に関する基礎用語について、それぞれ記している。特に第Ⅱ章では「指導と評価の一体化の実際」としてタイトルの「教師のリアクション力」について実際の場面での対応に基づき、詳細に解説している。
 本書の実際例のように小学校では取り組みやすい内容となっている。しかし今後は成績が入学試験とリンクする中学校や高校で「指導と評価の一体化」をどう進めていくかが大きな課題であろう。
(1430円 文溪堂)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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