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公立学校施設の耐震化&吊り天井対策はどう進んだか

13面記事

施設特集

内外装材の落下などを防ぐ対策を要請

 文科省は昨年10月末、「公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査(令和6年4月1日現在)」の結果を公表した。
 建物の構造体の耐震化や屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策については、おおむね完了しているが、一部の学校設置者においては対策が完了していないことから、その後の取り組み状況を確認している。
 調査結果によると、構造体の耐震化(非木造)が未実施な建物は、前年度から145棟減っての247棟になった。そのうち、小中学校は60棟減少し、135棟となっており、残棟数の多い都道府県は「北海道」31棟、「愛媛県」28棟、「山口県」14棟などである。
 次に、屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策が未実施な建物は、前年度から20棟減り、140棟。小中学校は7棟減少して111棟となっている。吊り天井は地震の揺れに対して非常に弱い構造で、東日本大震災では体育館などの吊り天井が落下し、多数の負傷者を出したことが報告されている。
 このような事例を教訓に、吊り天井の構造を強化し、地震に対する耐久性を向上させるための補強工事(金具や支持材を含む)を行うことが求められているが、近年では吊り天井を撤去し、軽量で地震に強い膜天井に変えるケースが多くなっている。
 また、屋内運動場等の吊り天井以外の非構造部材の耐震点検実施率は97・5%、耐震対策実施率は67・8%で、いずれも前年度から微増にとどまっている。
 建築後25年以上を経過した施設が約8割を占める公立小中学校施設では、建物の老朽化が深刻化している。その中で、大規模地震が起きた場合には、ガラスの破損や内外装材の落下など非構造部材の被害が拡大する可能性が高くなることから、今後も個別に進捗状況を聴取し、設置者ごとの事情を把握しつつ早期完了を要請していく意向だ。

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