あなたが学校でしあわせに生きるために 子どもの権利と法律手帳
16面記事平尾 潔 著
困り事への対処 アドバイス
一貫して子どもの権利に関わる分野に携わってこられた弁護士の著者による、子どもたちが嫌な事、つらい事で困ったときのための「お守り」のような本。「あなたがしあわせに生きていくために」という願いを込めて、易しい言葉で書かれている。
最初に「しあわせに生きる権利」(人権)について説明し、「いじめ」「不登校」「校則」「体罰と不適切な指導」「性の多様性と人権」「ともだち」のテーマごとに、どう対処すればよいかという解決法と考え方をアドバイスする。
もちろん子どもたちのための書だが、当然、教職員をはじめ教育関係者も理解しておくべき内容だ。例えば「子どもの権利条約」(「児童の権利条約」)で示されている基本原則の一つ(第3条)は、「子どもにとってもっともよいことを実現する」ことであり、子どものことを決めるときは、大人の都合で勝手に決めるのではなく、子どもにとって何が最も良いことかを考えなければならない。
いじめなどについて、子どもから相談を受けたときにまず言うべき言葉は「打ち明けてくれてありがとう。勇気がいったでしょう」。逆に言ってはいけない言葉もある。
「子どものためを思っておとなが子どもの権利を制限する」と、「行き過ぎたおせっかい」になることがある。ブラック校則などはその典型だろう。大人のためのテキストでもある。
(1650円 子どもの未来社)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)